第49話〝物置″

パビ:「それ以降、eoは行方不明のままなんだ…


そして、それから博士の周辺で、奇妙なことが起こり出した…」


マビ:「ねぇ?ちょっと待って!

eoがいなくなる前に、博士はそのメモリーを抜き取ったなら、eoは全ての記憶が無い状態でいなくなったってことなの?」


博士:「いや、バックアップメモリーがある。

しかし、それこそがあの、黒いあざのようなシミが在った場所なんだよ。

もう、彼の行動は予測がつかない。

oh!yeah〜!」


マビ:「何がoh!yeah〜!よ!

いきなりギターなんか持って、シャウトして!

それじゃ、事の深刻さが伝わらないのよ!」


博士:「まぁ、シャウトしたいくらい、

えらいこっちゃということだ。

thank you baby!」


マビ:「…なるほどね。

それくらい、博士もお手上げってわけね。

それで?

それから博士の周りで何があったのよ?」


パビ:「例えば、研究所の庭で、博士かな?って思って声をかけたら、振り向かずにそのまま逃げる人がいたり…僕はてっきり博士のイタズラだと思って、その後に博士に聞いたら、ずっと研究室にいたよって言われたこともあるし…


研究室の裏側に、誰も近寄らない物置があるんだけど…

あの物置って、普通の物置に見えるけど、実はすごい博士のこだわりが詰まっていると言うか…」


博士:「あれは、市場でも受け入れられるはずだよ。

物置の盗難被害を救える、画期的な物置なんだ。」


マビ:「なんなの?

その物置って?」


パビ:「話すより、現物で体感した方がわかりやすいんだけどね。」


マビ:「分かったわ。

行きましょう!」


パビ:「えっ?!いま行くの?!」


そして、3人はその物置に移動した。

その物置は、よく見る物置と同じ。

ただの物置だった。


マビ:「私をからかわないでよ!

ただの物置じゃない!」


パビ:「今にわかるよ。

鍵かけてないから。

中を見てみなよ。」


マビ:「中にあるものに、なんか秘密があるってことね?

よし!

ゔっ!うぅぅぅ…プハァー!

何よこの扉!

全く動きやしないじゃない!

パビ!

あんた鍵なんてかけてないってウソでしょ!」


パビ:「鍵はかけてないって!

それこそが博士のこだわりなんだよ!

ねぇ博士!」


博士:「まぁね。

その物置はね。

一見扉に見える扉は、扉じゃないんだよ。」


マビ:「何なのよ!

どういうことなのよ!

わけわかんない!」


パビ:「そして、さっきの話の続きだけど、この物置を誰かが開けようとしてたんだよ。

だけど、マビと同じように開けることはできなかったんだ。

でも…」


マビ:「でも?どうしたのよ?」


博士:「中身は、すっかりちゃっかりと消えていたんだよ。

そして、指紋もなし。

扉をすり抜けたか、いや、仮にすり抜けたとしても、中の物を持ってすり抜けることは、不可能だ。」


マビ:「何なのよそれ?

博士に似た怪しい人物がいて、

この不思議な物置を開けようとして、

開けられないからすり抜けて、

中の物を不思議な方法で持ってっちゃった。


そういうこと?」


パビ:「そうなんだ。」


マビ:「また、不思議なことを引き寄せちゃったのね!

そんなこと出来るの、ドラえもんくらいじゃないの?」


博士:「そうか!ドラえもんか!

マビは、さすかだね!

それは、考えつかなかったよ!」


パビ:「もう!博士も博士です!

そんなの現実にいるわけないじゃないですか!

まにうけちゃあ、だめですって!」


博士:「ハハハハハ!

案外マビの言う通りかもしれないよ。

その方が何だか面白そうだしね。」


ラビ:「でもよ?

そんなすり抜けるチカラがあるとしたら、さっきのニセ博士は、簡単に中に入ってこれたんじゃないの?

でも、入れなかったじゃない?」


博士:「さっきも言ったけど、すり抜けるというのは合点がいかない。

それ以外としか考えられないのだよ。」


パビ:「とにかく、奇妙なことが起こり出していることは間違いないから、それから…博士の提案で、あの合言葉で様子を見てみようということになったんだよ。

博士も、外に出ると誰かに見られているような気がするんだって。」


マビ:「ふ〜ん。

で、この物置はどうやって開ければいいのよ?

本当にビクともしないわよこれ。」


博士:「こうすればいいんだ。」


ガラガラガッシャッン!


マビ:「え!」


パビ:「見た目だと、横に開ける扉だけど、

下に開くんだよね。」


マビ:「な〜んだ。

そりゃ横には開かないわね。

でも、気になるわね…

あれは本当に博士そっくりだったわ!


この骨骨博士の方が怪しいもの。」


博士:「見た目で判断するとろくなことがない。

物置も、私も、この世界も。

この世界の真理だよ。

旧社会が良い例だった。

ラビも、結婚相手を見た目で選ぶと失敗するよ。

それよりも私としなさい。

そうしなさい。」


マビ:「見た目にもほどがあるわよ!

その骨骨は、バケモノじゃないのよ!

でも…少し慣れてきた自分がちょっとこわいわ…」


博士:「人というものは、順応性が高いんだよ。

いろんな変化を受け入れられるように出来ているんだ。

だから、進化した。

そして、自ら変化を生み出すことに意味がある。

ある意味私は進化したということかな?」


マビ:「もういいわ…つかれたわ」


キィィーン!


マビ:「えっ?」


ドカーン!!!


マビ:「何よ!何なの!」


パビ:「け!研究室が!」


博士:「これはまずいぞ!二人ともここから逃げなさい!」

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Doppelgänger:ドッペルゲンガー LEO @LEO

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