第48話〝サンタクロース″

ガル:「本当に大丈夫なんでしょうか?

旧社会の〝闇の世界″って聞いたら、それだけで不安になりますよ。」


ドグ:「君はやめておいてもいいんだよ。

私は、私の目的があって会うことを選択している。

このようなチャンスは、旧社会では一切得られなかったことなんだ。」


ベーア:「ガルさん。

恐れるような事にはなりませんよ。

旧社会では、想像出来ないほどの影響力がありましたが、なぜか彼らは今の世界を静観している。

この世界のコントロールは不要と、考えているようなんです。」


ガル:「しかし…こんな所で、本当に会えるのでしょうか?


あっ?サンタクロースだ。

子供達に風船をプレゼントしてる。

もう…そんな季節なんですね。


しかし…旧社会の支配者とこんな近くで、会えるなんて、意外と身近に存在してたんですね。」


サンタクロース:「あなた達も一ついかがかな?」


ガル:「いやいや、結構ですよ。

風船で、喜ぶ年ではありませんから。

それより、急いでいますから。

ベーアさん、まだ先ですか?」


ベーア:「恐らく驚かれるかもしれません。

あまりにも予想外の為に…


もう着いています…ここです。」


ガル:「えっ?ここ?」


ドグ:「ま、まさか?」


サンタクロース:「本当に入りませんか風船。」


ベーア:「彼が、そうなのです。」


サンタクロース:「久しぶりだね。

ベーアくん。

君も風船はいらんかね?」


ガル:「さ、サンタクロースが、きゅ、旧社会の〝闇の世界″?!」


サンタクロース:「あまり大きな声で、その言葉を言わない方がいいな。

さぁ、我が家へ入りなさい。

温かいスープを飲んでいきなさい。」


ドグ:「な、なんと…

も、盲点だったよ…

本当に盲点だった…」


ベーア:「さぁ、行きましょう。

彼のコードネームは〝J″

闇の世界幹部12のメンバーです。」


サンタクロース:「もう、過去の話だ。

その呼び名で呼ぶのはやめてくれないか?

さぁさぁ、入りなさい。」


ドグ:「先入観とは、怖いものだ…

誰もが好感をもっているサンタクロースだったとは…」


そして、大きな屋敷の中に入った一行は、サンタクロースと話し合いを始めた。


ドグ:「私は、あなたに聞きたいことがたくさんあるのです。

旧社会の〝闇の世界″

あなた達は、一体何を目的としていたんですか?!


なぜ?サンタクロースなのですか!

この世界をどうしようとしていたのですか!」


ベーア:「ドグさん。

落ち着いてください。

私はこの世界の私ではありませんが、この方は、私の世界でも同じこの方でした。

それがヒントとなります。」


サンタクロース:「この世界の見た目に感化されている君たちには、まだまだ理解できない領域じゃな。

未熟にも、ほどがあるわい。

まず、この世界の成り立ちを知らなきゃあ、真実を見る事はできないのじゃ。


この世界は、今混ざり合おうとしておる。


それがヒントじゃ。


それがお主らにとって、必要な一番の情報になる。


わしが、過去どうしたとか、〝闇の世界″がどうとか、今の世界では何の意味もない。」


ドグ:「混ざり合う?」


ガル:「ちょっと待って下さい!

私は、旧社会の闇の世界ってもっと怖い存在をイメージしてたんです!

これは、いったい何がどうなってるんですか!?」


サンタクロース:「神は、神らしくなくてはならない。

悪魔は、悪魔らしくなくてはならない。

それこそが、お主らのこの世界の見方のレベルが低い証拠なのじゃ。」


ガル:「この世界の見方のレベルが低いですって?」


サンタクロース:「ほらほら、そうやって本質を突きつけられると、すぐにムキになるのもまた、精神レベルが低い証拠じゃわい。


そもそも…

光さえも、本当の光と、この世界で存在する光と二種類あるのも知らんのじゃろう?


この世界で存在する光がある為に、また闇も必然的に存在する。


この世界を光の世界というのなら、闇の世界も存在する。


でなければ存在できないのじゃ。」


ドグ:「あ…あなた様は、もしかして神なのでは?!」


サンタクロース:「神が存在すると本当に思うとるのか?」


ドグ:「わ…私は存在すると思っています。」


サンタクロース:「すると、悪魔も存在する事になる。

お主は、それを選択し、創造するのじゃな?

だから、この世界には、神も悪魔も存在するのじゃろう。」


ドグ:「えっ?」


サンタクロース:「私の役目は、この世界で膨大に創造され続けているものを調整する事にある。

旧社会での、この組織の役割としてもまた然りじゃわい。


しかし、本当の神によって、この世界は変えられてしもうた。


それもまた、本当の悪魔が、この世界を変えることができる扉が開かれてしまったことになる。


もう、その兆しとして、お主の体にも、この世界中でも現れだしておる。


我々も…もう…

これからどうなるのか、見当もつかないのだよ。」


ガル:「本当の神?本当の悪魔?

神にも、悪魔にも!

本当の存在って!

もう何がどうなってるんですか!」


ドグ:「さすがに、冷静を保つのが難しい内容です…


これからどうなるのか…

それは、あなたもわからないようなこの世界の一大事…


私たちが、どうこうできるものでもないのでしょう。


ならば、私はあなたに聞きたい。


あなた達が、この世界をコントロールしてきた過去の…


あの旧社会の〝こと″について。」

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