第3話
永遠の不老と不死を手に入れた人々は次に何を願うだろか。お金?贅沢?快適さ?
お金は人に平等となって毎日一定の金額が渡される。
贅沢は無くなるだろう。無くなるというのは君たちが思う贅沢の方だ。君たちが思う贅沢は僕達の時代では普通なのさ。おかしいって?別におかしくないさ。君たちもそうだろ?祖父や祖母どから聞いたことはないか?「私たちの時代だとお腹いっぱい食べることが出来なかったんだ。」こういう事だ。
じゃあ、快適さはどのようにと。そうだね、前も言ったように君達の時代よりも技術が大きく進歩している。夏が暑い。冬が寒い。梅雨が嫌い。花粉が嫌い。そう思った事は無いかい?僕達の時代にはその全てが無いのだ。世界は大きな天井が貼られていて、雲がない。雨もない。天井の下には空気を調節する機械が沢山ある。365日年中ずっと、一定の人間が一番快適だと思われる温度が保たれている。そうだ。季節がなくなっているのだ。
その代わりに職業の種類が減るけどね。君たちの時代には何百、何千もの職業がある。だけど、僕達の時代は殆どが機械に頼っているから仕事が無いのだ。病院も、警察も、学校の先生も、工場も、農業もだ。だが、研究者は人間のままだ。研究者になるには相当な能力が必要になってくる。そのために人々は学校に通う。
僕は研究室の転送機、タイムマシンと呼ばれる機械に入って君達に未来の話をするために来た。僕の名前?僕には名前が無いのさ。名前が無いのは僕だけじゃない。全ての人に名前は無いのだ。なんと呼ばれるかって?それは、生まれた時に国から与えられる番号が自分の存在を表す名前みたいなものだよ。7568-63。これが僕の番号だ。覚えるのは大変だけど、慣れれば楽だよ。君達の時代にもあったら良かったのにね。
人の醜さ @mochizuki-k
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人の醜さの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます