六日目 白き猫は雷炎を纏う

「志輝君はえらいなぁ。命令を素直に聞いてくれるし。なにより、自分の意思もちゃんと持って行動してる」

悪魔達が現れるであろう木々を見つめる。

「おじちゃんも頑張んないとね」

「黒兎さんはどっちやりますか」

悪魔探知を見ると、上級悪魔が一体と下級悪魔が七体。

「どっちにしようかなぁ」

風の刃が黒兎の首目掛けて飛翔してくる。

「おじちゃんは」

素早く生成したスローイングナイフを指の隙間に挟み、風の刃を切り裂く。

「上級悪魔と遊ぼうかな」

「良かったですね。良いタイミングで魔法が翔んできて」

黒兎は顔を俯けて。

「あの白猫さん。空気読んで」


「なら、私は雑魚処理だね」

七体の悪魔を攻撃範囲まで引き付けて。

槍を器用に回し、地面に突き刺した。

「クロウルアース・オブサンダー」

突き刺さった槍から青い雷が放出される。

その雷は地を這うように悪魔に向かって進んでいく。

広範囲攻撃が可能な技ではあるが威力がまったくない。

だが、それは初撃のみ。

雷に当たれば敵には麻痺の効果がつく。

足止めだけでなく、敵の体力を二秒に一パーセントの間隔で削っていく。

雷の効果は五分続く。

その間に。

「出し惜しみはしません」

地面に突き刺した槍を引き抜き、技を発動させる。

雷と炎の特殊属性。

青白い雷が鋭利な槍の刃を包み、その上に深紅の炎が覆う。

「散りなさい」

槍を大きく振りかぶり、刃を地面に叩きつける。

すると、各地点で爆発が起こり、そこに雷の柱が天から落ちる。

「私だけが使える技。技名はまだ付けていません」

名の無い技は、悪魔達を一掃した。


仕事を終えた白猫は静かに黒兎の出す合図を待った。

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ファートゥムレシスト kou @kou

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