#3 「流星」
ラクロス部――ネットラクロスの撮影をしたのは、最初の学生新聞を貼ってから数日後のことである。写真部の掃除がいよいよ佳境に入ったところで、顧問の小室先生がぼくにその話を持ちかけたのが始まりだった。
「最近なにか活動を始めたそうじゃないか。……去年にはもう廃部になるという話も出ていたのにな」
「はい。せっかく機材もありますし。もったいないかなと思って」
「他の先生から聞いたよ。学生新聞の記事を探しているそうだね?」
今江先生が気を利かせてくれたらしかった。
「うちにもひとりいるんだ。帯刀田くんのようなエースが」
「エース、ですか」
「お前は有名人だからな。その身長を活かしてなにかスポーツをやろうとは思わなかったのか」
「全然まったくこれっぽちもまるですっきり」
先にも話した通り、ぼくは中学時代、殆ど部活というものと関わり合いを持たなかった。身長が人一倍高いというだけでよく運動部の先生に誘われはしたけれど、断固彼らの根性論に誘われまいと徹底的に断り続けたのである。
そもそも自分が興味のないことを続けるのは気が滅入る。運動部の先生というのは、外見がそうというだけでやたら生徒になにかをさせたがる人が多いのだ。……だから余計に厭になる。ぼくは断って断って断り続け、ついに卒業式の日に帰宅部皆勤賞を勝ち取ったのだ。
「なんだかすごい響きですね。漫画みたいに二つ名があったりするんですか?」
「あるんだなー、それが」
その生徒はかつて<伊ヶ出付属の流星>と呼ばれていたという。
ぼくは三脚を担ぎ、首にカメラをぶら下げて、運動場の離れにあるラクロス部へと向かった。ネールデバイスを使ってネットアバターを可視化すると、どの生徒も自分のネットアバターを隣に据えてその動きをトレースしている。アバター公式戦では選手ではなく、選手たちが育てたネットアバターが電子戦で試合を行う。だから自分の動きをアバターに覚えさせる必要がある。
「これがネットラクロスの練習風景ですか」
「初めて観るのか?」
「ええ。けれどマニュアルのカメラじゃアバターまでは撮れませんよ」
「そんな間抜けな写真はいらんぞ。お前には選手だけのカッチョイイ写真を撮ってほしいんだ。ほら、あの子だ。同じクラスだろお前」
離れにある倶楽部棟の前で、胸に「十番」の番号が打たれた生徒が準備体操をしていた。
安藤さんだった。
このとき、左の袖に星の刺繍があるのを見て、ぼくは彼女が<伊ヶ出付属の流星>と呼ばれている生徒だと知った。
「正確には〝呼ばれていた〟だけどな。今は<伊ヶ出高校の流星>だ。できるだけ彼女をメインに撮ってくれ」
「そんなにすごいんですか。あの安藤さんが」
ふたりで話をしていると、不意に遠くにいた彼女と目が合った。安藤さんは手を止めず、こちらの様子を伺っている。
「お前がどう思っているかは知らんが、あの子は天才だよ。ほら何だったか、ウィザード級だったか」
「ハッカーなんですか」
「要はそれくらいスゴイってことだ。頼めるか?」
ぼくが「素人作法でよければ」と云うと、なにかを察した安藤さんは照れたように笑って会釈した。
「安藤さん、ラクロス部だったんだね」
撮影の合間にそう話しかけると、安藤さんは「うん」と答えた。
「なにかきっかけでもあるの?」
安藤さんは少し押し黙って、なにか考えるようにぼくの顔をみた。
「この道具の名前、わかりますか?」
「たしか、スティックだよね」
ラクロスのことは詳しく知らなかったけれど、小室先生が構図の指示を出すときに道具について一通り説明をしてくれた。
「そう。このスティック……、なんだか幽霊が退治できそうじゃないですか?」
このときの言葉は今でもよく覚えている。
ラクロスの話をして、ラクロスの写真を撮っているとき、どうしてオカルトの話が出てくるのだろうと当時は疑問だった。ただ安藤さんにとってはそう無関係な話ではないらしい。
「中学のころになにかスポーツがやりたいと思って。そのときに、やるならラクロスかなって思ったんですよね」
「その理由が、今のスティックの話?」
安藤さんはにこっと笑った。
おとなしい子だとは思っていたが、どうやら少し不思議な子だったようだ。
「安藤さん、前に話したとき理系って云ってなかったっけ」
「記憶力いいですね。さすが写真部」
「写真部だからって頭いいわけじゃあないさ」
「そうなんですか? 伊ヶ出高校の写真部はとても頭がいいイメージでした」
「そんな褒めるなよ~。けど、ぼくと安藤さんが話したのなんて、あのときくらいだし……。でも……、そっか。てっきりきみはそういうのとは無縁な人だと思ってたよ」
「理系だけど、オカルトが嫌いだなんて言った覚えはありませんよ。それより今はこの子の自慢をさせてください」
話に釣られてスティックのほうを向く。まじまじと見つめると安藤さんは「いいでしょ」と言った。ぼくは「中々格好いいね」と返した。赤いスティックだった。
「赤色は好きだよ、つやのあるやつ。ワインレッドのメタルだと、特にいい」
「へえ。わかりやすいですね」
「わかりやすい?」
「うん。タテワキくん、わかりやすいです。わかりやすい少年系」
「ふむ」
そんなふうに見えるのか。
ぼくは少し唸って、こんな質問をしてみた。
「安藤さん、マンガ読む?」
「え? うん、読む。読みますよ」
「好きな雑誌は?」
「えっと……、ガン○ン?」
「〝わかりやすい少年系〟」
ぼくはさっきの安藤さんの言葉を復唱する。
「……たしかに」
このときはふたりとも互いにペルソナを被っていた。一年後には写真部の部室にテラーのバックナンバーを揃える安藤さんがいて、彼女は彼女でぼくのことを少年系だとは微塵にも思ってはいない。
「ちなみに好きな色は?」
「もうわかってるんでしょ」
「うん。いい色のスティックだよ。格好いい。たぶん、これよりは上はないね。ぼくも同じものを買ったと思う」
安藤さんが気づいているかどうかはわからないけれど、彼女とぼくの趣味は少し似ていた。彼女のことをそこまで知っているわけではないこのとき、なんとなく気が合うんじゃないかと思った。
少なくとも友達になれる程度には。
「本当はもっと良いやつが沢山あるんだけど、ね」
「お金かい?」
「お金ですね」
「実に学生らしい理由で」
「けっこう長いこと使ってるから、もうずいぶんと傷だらけです」
安藤さんはどこか申し訳なさそうにスティックを撫でた。ぼくは「そんなものさ」と云った。
スティックを撫でる手に妙な色気を感じたせいか、つい野暮ったく見つめてしまった。
そのとき不意に、なんだか色気とは別の妙なものを見た気がした。
「ちょっと、それ、貸してもらってもいい?」
「え? いいですけど……」
ぼくは彼女の手からスティックを拝借した。安藤さんの言ったとおり傷だらけだけど、決して色あせているわけではなかった。むしろ夕焼けの光を反射させて赤色の光沢が少し眩しい。
しかし、だからだろうか。
その妙なものはすごく目立つ。
いや、たぶん、あえて目立つように……。
「……これは、安藤さんが彫ったの?」
「あ、うん。トレードマークです」
安藤さんがほんの少し自慢げな声で言った。
カッターで切り込みを入れたのだろうか。いや……、確か、和長が前に使っていたのをなんとなく覚えている。たしかデザインナイフと呼ばれるもので、工作に向いている刃物があったはずだ。あれを使ったんだろう。
「これ彫ってるとき、怪我しなかった?」
「すごい、なんでわかるんですか?」
「このマーク、曲線が多いだろ。だから普通のカッターはまず使わない。危ないし、カッターって基本的に垂直にしか滑らないしね。で、この部分なんだけど……、途中まで曲線になってるのに、はみ出した後がある。狙ってやったんじゃなくて、手を滑らさせたときにできるはみ出し方だ」
安藤さんが怪訝な顔つきでぼくを見た。これまでの他人行儀な笑いが消えていた。
彼女の瞳は、じっとなにか、珍しいものを見る眼に変わった。ぼくにもわかる、はっきりとした変化だった。
「……すごいね、タテワキくん。探偵みたいだよ」
「難しい記号だから、あまりうまくはできないと思うよ。手先が器用な人以外は」
スティックの頭には、小さく<&>と彫られていた。「あんどう」という言葉をもじった、彼女のトレードマークらしい。
「ねえ、安藤さん。ぼく……、前に安藤さんと話したとき――」
「リリィ! 写真部来てんのー?」
遠くから、そんな声が聞こえたと思ったとき、ぼくは云いかけた言葉を紡ぐことができず、安藤さんの眼は元の色に戻った。一瞬だけ、ぼくをちらりと見つめて、彼女は友人らしきふたりの部活仲間に手を振った。
失礼ながらぼくは安藤さんに友人がいることをこのときはじめて知ったのである。
「うん! いるよー!」
「キャー! 撮って撮って~! カメラだよカメラ!」
見たことのない女子生徒が駆け寄ってきた。会うのは初めてだったが、恐らく別のクラスの女子だろう。あの他人行儀な安藤さんが敬語を使っていないから、同学年のはずだ。
ぼくは軽く会釈した。自己紹介を済ませる途中、ぼくのニックネームに関して安藤さんが注釈した。
「みんなはタテワキくんって呼んでる」
ふたりの女子のうち、ひとりはセミロングの髪をした見るからに活発そうな子。もうひとりはなにやらにこにこしている目の細い子だった。ぼくはその表情に興味はなかったが発育途中の胸とラクロス部員のユニフォーム越しに艶めかしいフォルムを描いている尻への探求心は拭いきれず、キリッとした表情で「タテワキです」と答えた。
「ふーん。タテワキくん……、タテワキくんね。おっきい体してるねえ」
活発なほうが値踏みするような眼でぼくをた。
安藤さんが「でしょー! 超有名、うちのクラスでは」と付け足す。
どうやらぼくは、えらく狭い範囲の超有名人らしい。
「リリィの倍くらいあるんじゃない」
「そんなにないよー」
リリィ。聞き覚えのない言葉だったが、疑問符を浮かべるぼくを見て安藤さんが答えた。
「リリィです」
どうやら安藤さんの部内ニックネームのことらしい。
「ちなみに、その由来は?」
「安藤すずな」
「うん」
「すずな」
「うん」
「すず」
「うん」
「鈴(りん)」
「うん」
「りりィ~んって感じで……」
「ちょっ……とキビシイかもな」
「まあ、部活のニックネームなんて、そんなもんです」
これに便乗するように、ふたりの部活仲間がぼくに自己紹介を始めた。
「ミミーこと加藤みみです。一年C組で~す」
「アニィ、佐藤まもる。クラスは、ミミーといっしょね!」
加藤さんのほうはにこにこ笑いながら、佐藤さんのほうはぶっきらぼうにそう言った。
「ミミーはわかるとして、なんでまもるって名前がアニーなの」
「兄貴のことそうやって呼んでるからって、ミミーが」
加藤さんと佐藤さん。それに安藤さん。なにかの冗談かと思えるくらい似通った名前の苗字が並び三羽烏の体を為している。現実的には出来過ぎた偶然であるがフィクションならばクソ適当な人物設定である。
「覚えやすくていいや。加藤さんと佐藤さんは昔からの友達……、ああ、えっと……、同じ中学かなにかなの?」
「ああ、うん。そだよ。なんでわかった?」
ぼくは「なんとなく」と答えた。
「すごいね~タテワキくん。頭いいね~」
加藤さんがにこにこした笑顔で褒めてくれるので、ぼくは鼻の下が伸びないようにフフンと微笑んでイケメン面を取り繕った。よりイケメンらしさが際立つようキリッと目を見開く。余談だが数日後に同じ顔を彰人に見せたとき、やつは「ウルトラマンのC型に似ている」と云いくさりおった。
「いや、だってまだ高校生になって日も浅いしさ。呼び方から考えるに、小さいころからそうなんじゃないかなって」
「うわ、理屈っぽ……。まぁ当たってるけど」
ただ安藤さんの言葉を思い返すに、三羽烏になったのはつい最近のことなのだろう。気が付くと、安藤さんがまたぼくのことをじっと見つめていた。
それからしばらく佐藤さんの撮って撮って攻撃をばしばし喰らいながら陽が落ちるのを見送り、その日のラクロス部の撮影は終了した。途中、安藤さんが部長の黒御影先輩という人に呼ばれてどこかへ消えてしまったため、それからは佐藤さんばかり撮っていた気がする。小室先生の指示通り安藤さんの写真も使えそうな分は撮っておいたから文句は云われないだろうけれど。
それにしても被写体のナルシズムに付き合わされるのはこれほどまでに精神的疲労を負うものなのか。かつての写真部もこのような試練を試されていたのだとしたら頭が上がらない。ぼくは沈む夕日に向けて会ったこともない伊吹さんという先輩に尊敬の念を送った。
「安藤さんってさ、なんで伊ヶ出に来たんだろ。こっちに友達いなさそうなのに」
撮影が終わったあと、佐藤さんに何気なく聞いてみたところ、実にあっさりとした返事が返ってきた。
「さあねえ」
「あんまりそういう話ってしないのか」
「しないねえ。たしか教育学部がやってんだっけ。まぁウチらとはランクが違いますがな。あたしはそういうの気にしないけど」
伊ヶ出付属はこの辺りで唯一中学受験が行われている学校だった。もちろん、小学生の年相応の学力で入学することは難しく、いちばん遊びたい時期の子どもが塾に通ってようやく入学できるエリート校だと聞いている。
「エスカレーター式に進学できるところだよね」
「でもすごいよ、リリィは。あたしも中学のころネットラクロスやってたけど、そんときから注目されてたからねえ」
加藤さんに目を向けてやると、にこにこしながら「わたしもラクロス部でした~」と答えた。あ、いや、そういうことが聞きたいのではなかったのだけれど……。
「えっと<流星>だっけ。そんなに強い子だったの?」
「うん。ネットラクロスは強い。きみ、電子競技の経験は?」
「ありません」
「あっそ。まぁ知ってると思うけど、球使う類のネットスポーツは競技用デバイスで念波送ってコントロールするでしょ。だから体力と運動神経と、脳みその電気信号の……あ~……演算性? だっけ? そういうのが必要らしいけどあたしにもわからん」
佐藤さんはどうにもこの手の話を説明するのが得意ではないらしく、加藤さんがその役を買ってでてくれた。
「例えば現実世界の野球なら、バットをボールに当てればバットの角度や当たったときの衝撃の強さで飛び方が決まりますよね。これが仮想世界の電子競技の野球だと、アバターやデバイスを介して打った球をコントロールできるの。すると……」
「そのコントロール次第ではバントでもホームランが打てるようになる?」
「そういうこと~」
「フムン」
佐藤さんが苦笑いをする。「そういう確率論の操作とか、仮想世界ではみんな無意識にやってるんだって。仮想空間のなかにテーブルとコーヒーがあったら、〝あ、そこにテーブルとコーヒーがあるな〟って脳は認識するじゃん。その認識が仮想空間内の物質の生存確率に影響してるんだって。あたしたちがそれを認識するから、それは仮想空間のなかで実在してることになる――これを意識的にコントロールできるようになると、電子競技の球の扱いが上達するらしいよ」
「けどおかしくないか。何人もの選手が同時にボールを認識するわけだろ。だったらボールが飛ぶ方向は、選手たちの予測する方向になるはず」
「えっと?」
「さっきの例で云うなら、仮想空間で三人のうち二人が、テーブルの上のコーヒーをココアだと認識すれば、そのコーヒーはココアになるってことだろ。じゃあ野球のボールは選手たちが〝飛ぶ〟と思った方向に飛ぶはず」
頭からふつふっと湯気を出す佐藤さん。すると今度はまた加藤さんが、
「そう。だから打つ側の選手たちはチームワークを発揮して〝飛んで欲しい方向〟を意識する。守る側の選手も自分たちに都合のいい〝飛んで欲しい方向〟を意識する。するとボールのなかの知性体は両軍から受信した意識の差を計算して、それを反映したほうに飛ぶ。安藤は……リリィは、そのボールのなかの知性体に介入できる。ほんの少しだけど自分に都合のいいように飛んでくれるようにボールを説得できるの」
「そうそう。あたしもそれが云いたかったわけ。だからチームが披露して意識が曖昧になってるときは強いよ~リリィは。力なく浮いたボールがなんの前触れもなく急落下することもある。リリィが云うには〝球を落とす〟のはもっとも楽なやり方なんだってさ。だからあの子はボールを流れ星にするのが得意ってわけ」
ぼくは呟くように云った。「<流星>ってのは落下のことか」
ふたりの説明で彼女の通り名の由来はわかった。
しかし学習環境にもよるけれど、よほど勉学を怠らなければ今ごろは伊ヶ出大学の付属高校に通っていたはずだったろう。なにが彼女をこんな二流進学校に堕落させたのか。
勉強するのが嫌になって別の高校を受験するというのはよく聞く話だけれど、それだってエリートの地位を捨ててまでやることではない。
ぼくが下衆な勘ぐりをしてしまいかけたところ、小室先生の声に引き留められた。
「おい加藤と佐藤、お前ら、トンボも持たんと何しとるんだ!」
すっかり暗くなったグラウンドの向こうから小室先生が駆けてきた。
「はーい! やっべえ、サボってんのバレたか。……ごめんタテワキくん、コム長官が呼んでるから、またねっ!」
「リリィ~のことよろしくね~」
忙しそうに帰っていくふたつの尻を見送るぼくは「ラクロスの服って割かしいエッチだな」など低俗な発見を密かに喜んでいた。
いかんいかん。ぼくは鼻の下が伸びないように再びイケメン面を保とうとする。彼女らと交代でやってきた小室先生が不思議そうな顔をして云った。
「何やってんだお前。ウルトラマンのC型みたいな顔しおってからに。写真はちゃんと撮れたのか?」
「はい。今日はありがとうございました」
先生はどこか満足げに「ヘアッ」と唸った。運動部の先生というのは、生徒になにかをさせたがる人が多いような気がしていたけれど、実際はなにかをやっている生徒を見るのが好きなのかもしれない。
中学時代、ぼくのことをしつこく誘ったバスケ部の顧問が本当に見たかったものは、ぼくの情熱だったのだろうか。ふとそんな考えが頭を過ぎった。
「いつごろ焼けそうだ?」
「えっと、写真は今日の帰りに現像に出すんで、明日には。たぶん。絶対にたぶん」
「店で現像するのか。自分ではやらんのか?」
「まぁ、ゆくゆくは……。明日か明後日で部室の掃除が終わるんで、新聞は三日後くらいにはできると思いますよ」
小室先生とのやりとりも終え、ラクロス部の撮影は終了した。ぼくは鞄を取りに写真部に一端戻り、そのあと美術室を少し覗いて帰宅した。
初めて写真部らしい活動ができたこともあってなんだか嬉しくなり、同じ部活野郎の友人と肩を並べて歩きたくなったけれど、ひとり美術室でキャンパスに向かっている和長の姿を見たとき、その気持ちは消えてしまった。
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