7-6

 飯塚さんとの通話を終えると、あたしはゆっくりと立ち上がって、目の前に屹立する桐の木を見上げた。


 紆余曲折を経て、あたしはようやくのこといくつかの問題の答えを見つけることができた。坂口亜里砂の問題。泉田秀彦の問題。それに初芝郁美の問題――。


 石垣良平や木島皆子、大崎誠二については未だ不明な点もあるが、数値を代入するだけで答えのわかる方程式のようなものだった。


 だから、残された問題はあと一つ。


 あたしという木がどのような木なのかという問題だけだった。


 ――あいつを殺して、ジャンピング・ジャック。


 誰かがあたしの中でそう囁いたようだった。

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