関西圏で暮らす(と思われる)少年少女のあやかし物語。
お祓いを家業とする陰険な男の子の紫苑。
そんな彼に体よく使われる、ピュアというかお人好しの舞夜。
二人の絶妙な掛け合いで物語は進行していきます。
出て来る怪奇は人間の業を深く抉り出したものばかり。
顔なし・以津真天・そしてゲームに取り憑いた悪霊。
どれもこれも、絶妙に皮肉の効いた話になっていて、こう、ホラーものの怖いもの見たさとはまた別な、余韻を感じさせる話になっています。
ちょっとわちゃわちゃしている感じも楽しくてGOODです。
そして、嫌な奴・危険な奴と言われながらも、ちょっと不器用な優しさを見せる紫苑くんが、これまたかわいいですね。
男は黙って的な独特の美学を持っているのが好感触。
俺は好きだぜ、紫苑くん。
あやかしというジャンルになるんですかね。
あまり読んだことがないのでわからないのですが、ダークなんだけれども、その中にもどこかほんわかとした雰囲気が漂う、この作品の空気はとてもユニークなものです。
あやかしジャンルが好きならば、一度つまむ程度に読んでみては。
後悔しない内容だと思います。オススメです。