Deep rain Quest

@miumiu071731

第1話 集落__空蝉__にて緊急会議

____人はとても愚かだ。

水は人と共にあり、人と共に生きる。

しかし人はそれを忘れ水を殺し、その事を他人事のように悲しむ。

これを愚かと言わずになんと言うのだろうか?


時は沛然__はいぜん__470年。

この国の東端にある人口70に満たない集落。

平和だったこの集落は、突如として雨が降り続けるようになってしまった。

今まで前例のない事態に大人達は焦り、そして解決方法が分からない事に対する苛立ちを募らせていった。

「雨が止まない…このままでは作物が育たない。」

「川の氾濫も時間の問題だぞ!こんなに深い雨は初めてだ」

「深い…雨……っ!深雨だ、奴がこの集落にいる限り不幸は続くのでは!?」

深雨という名が出た途端に、大人達の眼の色が変わる。

深雨は、この集落にいる6歳のみなしごの少年。

父を生まれる前に亡くし、母も深雨を産み落とし亡くなっていた。

今年に入り、未だ有効な治療法が見つかっていない病にかかってしまい集落の厄介者になっていた。

「なるほど!深雨という名がその確固たる証ではないか!」

「雨神様の…雨神様の怒りを鎮めなければ…」

雷が鳴く。

____大人達を責めるように、人の醜さを嘆く様に。

激しい雨は降り続ける。

____人の醜さを洗い流そうとする様に。

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