【七章前半のあらすじと登場人物】
*ここまでのストーリーのネタバレが多く含まれています。直前話までご高覧いただいたのちに、閲覧することをおすすめいたします。
先のイレスダートの内乱にして、その混乱に乗じてイレスダートの領域を侵したユングナハルの真意を問うため、ブレイヴは王都ナナルを目指す。
砂漠越えには様々な準備が要るものの、イレスダート人であるブレイヴたちは真面な金額で取り合ってはもらえず、前途多難な旅路のはじまりだった。難航するブレイヴたちに酒場で声を掛けてきたのはユング人の少年ウンベルト。彼はナナルまでの護衛を求めていた。
砂漠の厳しい旅を経て王都ナナルへと着いたブレイヴたち。
仲間たちとはそれぞれ別行動で、城下街で落ち合う手筈だったが、しかしここでも何者かに襲撃される。狙われているのがウンベルトだと指摘するブレイヴたちに、ウンベルトは自分の兄弟のはなしをする。少年はクライドの弟であり、他にもたくさんの兄たちがいるという。そのうちの一人に、ウンベルトは恋人ジルとともに狙われていたのだった。
ナナルの宿に泊まったレオナは夜中に不審者に襲われる。狙いが自分ではなくジルだと知ったレオナは戦わずに、傍付きのルテキアとともにわざと捕まる選択をする。
ブレイヴはウンベルトとジルを問いただし、ちゃんとした説明を求める。ジルはウンベルトの兄ガエリオの妻であり、それを知った上で少年たちは恋人関係になった。ガエリオの怒りはすさまじく、弟殺しが罪であろうとウンベルトを殺すつもりらしい。
そして、自ら囚われたレオナはガエリオと相対する。
一方のブレイヴは、まさにイグナーツと対面しているところだった。
イレスダートの聖王アナクレオンの書状を渡すも、イグナーツからは色好い返事をきくどころかすぐに追い出される。イレスダートを攻撃したのはイグナーツの兄ダビトだが、あれは叛逆者で王家とは関係ないのだと、イグナーツは言い切ったのだった。
ガエリオと話し合うものの、一方的に痛めつけられたウンベルトはブレイヴにクライドに会ってほしいと頼む。すでに目的のひとつは果たし、クライドと会うのはブレイヴも望んでいたことだった。しかし故郷に帰ったクライドは、月光石を巡ってダビトと争っているという。
戦える者がほとんどいない集落で苦戦するクライドのもとに、聖騎士たちが駆けつける。迎えに来たというブレイヴにクライドは渋るものの、仲間たちに背を押されて王都ナナルへと向かう決意をする。
ふたたびクライドを迎えたブレイヴだが、月光石を巡る争いに加えてウンベルトとジル、そしてガエリオの因縁の他にもたくさんの問題が残っていた。
【登場人物紹介】
ブレイヴ
23歳。ブレイヴ・ロイ・アストレア。主人公。イレスダートの聖騎士。イレスダートを追われたあと、西の大国ラ・ガーディアや山岳地帯のグラン王国の要人たちと誼を結んだ後、イレスダートへと帰還。祖国アストレアも取り戻した。
先のイレスダートの動乱にて、イレスダートの領域を侵したユングナハルの真意を問うため、砂漠を越えて王都ナナルに向かう。
レオナ
21歳。レオナ・エル・マイア。ヒロイン。ブレイヴの幼なじみでイレスダートの王女。上の兄妹二人とは母親がちがう側室の子だが、
王都マイアに戻るも自身の本当のあるべき場所を自覚し、それ以降もブレイヴの傍にいる。
ディアス
24歳。ディアス・ブラッド・ランツェス。ブレイヴとレオナの幼なじみ。赤い悪魔の異名は士官生時代に付けられた渾名。西のラ・ガーディアでブレイヴらと別れたあと、イレスダートに戻る。
独断で妹ウルスラを敵国ルドラスへと送った異母兄ホルストとの仲は険悪。父親であるランツェス公爵は変わらずマイア王家への忠誠を誓っているものの、ランツェスもディアスもむずかしい立場にある。
アナクレオン
33歳。アナクレオン・ギル・マイア。イレスダートの王。レオナの異母兄。長きに渡り対立していた元老院によって、玉座を偽りの王とすり替えられる。偽王の正体は
先のイレスダートの動乱で離散した元老院の身柄を求めて、ムスタール公国のヘルムートへと書状を送っている。
ソニア
23歳。ソニア・リル・マイア。イレスダートの王女。レオナの異母姉。少女の頃にディアスとは密な関係にあったものの、自身の政略結婚を機に北の敵国ルドラスに行くことになる。
八年前にガレリアとルドラスのあいだにて消息を絶っていたが、魔女イシュタリカを名乗り西のラ・ガーディアの最北サラザールに身を寄せていた。以降はユノ・ジュールと行動をともにしている。
ユノ・ジュール
年齢不詳。レオナと対となる存在の
白の少年と呼ばれた序盤は少年の姿だったが、以降は青年の姿になる。白の司祭としてヴァルハルワ教会の関係者を偽り、グラン王国に接触、他にも複数の要人たちを殺めている。
マウロス大陸に散らばる
ジーク
30歳。ジーク・フリード。ジークの名前は祖父から受け継いだもの。アストレアの鴉。
自由都市サリタにて消息不明となっていたが、その後祖国アストレアを占有するランドルフに近付く。自身の正体を偽り仮面の騎士としてランドルフの麾下となるものの、聖騎士の帰還によりランドルフを裏切る。後にふたたび麾下としてブレイヴの騎士に戻った。
セルジュ
29歳。セルジュ・エーベル。アストレアの名門エーベル家の嫡子。軍師としてブレイヴに仕える。
軍師の修行の一環としてオリシス公国に身を寄せていたが、自身の失策により公爵アルウェンに治らない傷を負わせる。自責の念からイレスダートを出奔、その後に西のラ・ガーディアのイスカへとたどり着き、シオンやスオウの軍師となっていた。
アステア
17歳。アステア・エーベル。セルジュの弟。魔道士の少年。自由都市サリタでブレイヴと合流後、西の大国ラ・ガーディアにて兄セルジュとの再会を果たす。
レナード
20歳。アストレア蒼天騎士団の騎士。城塞都市ガレリアからアストレアを追われたブレイヴに同行。イレスダートに帰還後はアストレアに潜入したりと、単独で行動することも多い。
ノエル
20歳。アストレア蒼天騎士団の弓騎士。レナードの同僚であり好敵手でもあり、相棒でもあり親友でもある。なにかと単独で動くレナードととは対照的に、先のイレスダートの動乱では一部隊を任されるほど成長している。
ルテキア
22歳。アストレア蒼天騎士団の女騎士。ブレイヴの母エレノア付きの騎士だったが、レオナの傍付きになる。
アストレアの北の出身で、ブレイヴの従兄弟であるダミアンの婚約者だった過去を持つ。
シャルロット
15歳。オシリス公爵アルウェンの養女。養父の死を際して一時的に声を失うも、西のラ・ガーディアにて自ら出生や兄妹の存在がきっかけで声を取り戻す。ラ・ガーディア最北サラザールの前王の落胤だが、その事実を知るのはわずかな人間のみ。
デューイ
23歳。西のラ・ガーディアの最北にあるサラザール出身の青年。シャルロットの異父兄。旅の案内役としてブレイヴたちをラ・ガーディアへと導いたあと、妹の願いと思いを受け止めて以後も行動をともにする。
フレイア
20歳。ラ・ガーディア最南フォルネの王女。ラ・ガーディアの動乱の際にブレイヴたちに同行。イレスダートへと戻るための資金をラ・ガーディアの要人たちに借りたブレイヴのいわば見張り役だった。
容姿がまるで似ていないという理由で実母から疎まれてきた。フォルネではいまも命を狙われるため、実母の命日に近付く期間だけラ・ガーディアへと戻っている。
クリス
24歳。フレイアの従者。白皙の聖職者と呼ばれる敬虔なるヴァルハルワ教徒。離散したワイト家の生き残りであり、白金の髪と薄藍の目はワイト家の人間に現れる。
幼少の頃に保護下にあった親戚の家から逃げて路頭に迷っていたところ、自分よりもちいさい少女に拾われる。以降、騎士のようにフレイアに付き従っている。
クライド
23歳。南のユングナハル出身の剣士。少年の頃に故郷を出奔したあとは、イレスダートの周辺諸国を彷徨っている。日銭を稼ぐために傭兵団に身を寄せていた時期もあり、オリシス公爵アルウェンとはそこで知り合う。
アルウェン暗殺を目撃したあとも、ブレイヴに同行しさまざまな動乱で戦ってきた。先のイレスダートの動乱にてユングナハルの介入に思うところがあり、ブレイヴには別れを告げずに故郷へと戻ってしまった。
ナナル王家の十番目の子。上の兄弟はダビト、イグナーツ、ガエリオ、弟はウンベルトがいる。
ウンベルト
16歳。砂漠の案内人の少年。ナナル王家の十三番目の子であり、兄弟たちの末っ子。
異母兄ガエリオの妻であるジルに一目惚れし、彼女に求婚する。大人からすればままごとのような恋愛でも本人たちは真剣で、それがガエリオの怒りを買ってしまう。ガエリオの刺客に何度も命を狙われながらも、日々たくましく生きている。
ジル
15歳。ウンベルトの恋人であり、ガエリオの妻。
ユングナハルのダナン出身の給仕娘。酒場で給仕しながらも本職は踊り子。日銭を稼ぐために夜は男たちの相手をする生活を送っていたところ、ガエリオに買われて妻となる。
ウンベルトとは良好な付き合いをしながらも、自身を守ってくれる後ろ盾がほしいのが本音であり、聖騎士に目を付ける。
ガエリオ
37歳。ウンベルトの異母兄。ナナル王家の八番目の子。ダビトとイグナーツの弟であり、クライドとウンベルトの兄。
豪商の家で育った過去を持っているものの、現在の職業は不明。雇兵を使って異母弟であるウンベルトの命を狙う。他国の聖騎士や王女に対してもその凶暴性を隠そうともしない豪胆な男。
イグナーツ
46歳。現在のユングナハルの女王。ナナル王家の六番目の子。ダビトを兄に持ち、ガエリオ、クライド、ウンベルトの姉でもある。ファラの母親。イグナーツは亡くなった夫の名前。
ファラ
15歳。イグナーツの娘。歳の近いウンベルトやクライドに懐いている。おなじく叔父であるガエリオの屋敷には宮殿を抜け出してたびたび会いに行っている。天真爛漫な性格で人見知りしない少女。
ダビト
49歳。ナナル王家四番目の子。上の兄たちはすでに病死していたため面識がない。すぐ下の弟を殺し、王位を狙った危険な男。クライドたち弟によって捕らえられ流刑地に送られたが、何者かの手引きで牢獄から抜け出した。イレスダートの内乱に乗じて領域に侵攻、その目的は己の存在をナナル宮殿に知らしめるため。月光石を欲している。
ヤン
クライドの村の青年。狐顔のヤン。妹の恩人であるクライドを強く慕っている。
タル
クライドの村の青年。狸顔のタル。ヤンとよくつるんでいる。少々気が弱くて美人妻には頭が上がらない様子。
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