全体的に漂うピリピリとした空気感。ただ表現が美しいだけでなく、漢字とひらがなの緩急が、読み手を飽きさせない隠し味となっている気がします。ふとしたところで飛び込んでくる短い文節の力強さに、心を締め付けられるような感覚を覚えました。それと、最後の一文がいい。猫なのにどこか人間味があるようで、すごく好きです。
二匹の猫が、読むうちに二人の美しい女になっていくーーその感覚は、吸い込まれるように不思議で魅力的です。