ミステリーと言われて想像するもの。名探偵が、謎を解明し、問題を解決する。しかし本作はその物語の骨髄部分から他作品と一線を画していました。
普段ミステリーを読まない、むしろ馴染みのない人にこそ一読して欲しい作品です。
ミステリー、サスペンス、ホラー、ファンタジー、恋愛青春モノ。本作をカテゴライズするなら、それら全てを含んだジャンルとも言えます。どれもが正解であり、そのどれでもないような。
しかしそれらが歪なキメラとしてでなく、知性を持った物語として直立し、読者に雄弁と語りかけてくるその様は、尊敬を通り越し畏怖すら感じる作品でした。
知識量、語彙力、構想力。それらをまとめて『文章力』と呼ぶのなら。破綻無くこの物語を完結させた作者さんの文章力は、遥か高みに存在していると思います。
何より結末の仕方が評価を星3つまで押し上げました。本来なら批判されるべきデウス・エクス・マキナ的な要素を感じましたが、『神がかった少年』の意味、そしてこれまでのストーリーの流れから、ストンと得心することができました。
意味の通じにくい長文になったと思いますので、要約すると『スッゲェ面白い』ということです。