第二十八話 公園
翌朝にはだいぶ調子を取り戻していた。
「ごちそうさまでした。おじ様、今日はお友達と公園をお散歩してきますね。たまには遊びましょう、とカレンたちが誘ってくれたんです」
口調はいつも通りだが笑顔は少しぎこちないようにも見える。ディアナの背中に声をかけた。
「ディアナ、お前が気にすることなんて何もないよ」
「ありがとうございます」
膝を小さく折ってお辞儀をすると階段を駆け上がっていった。
しばらくして、比較的シンプルで身軽な服装でアーネストの前に立った。頭に乗せられた小さな帽子の羽根飾りが可愛らしい。
「よく似合っているね、馬車は使うかい?」
「ありがとうございます!でも、近いので徒歩にします。行ってきます」
待ち合わせの公園に徒歩で来たのはディアナだけだった。会う約束をしていたのは、カレンのほかはメイベルだったのだが、二人とも、新品の自転車に乗ってきたのだ。
「ディアナ、メイベル、おまたせ!遅れてしまってごめんなさい。思ったよりも自転車って難しいのね」
ディアナのそばの空いているスペースにとめるカレンをメイベルに笑った。
「もうカレン、乗れないに自転車で来たってことなの?あなた時々不安になること言うのやめてよね?」
「前から心配かけてたわね、そういえば。でもちゃんと乗れはするわ」
二人の話についディアナが笑い出してしまった。
「ふふっ、うふふふ、でもまあ、カレンは転んだりしてた訳ではないのね?良かった。なんだか2人とも姉妹みたいで羨ましいわ」
カレンたちは心底驚いたというふうに顔を見合わせた。
「カレンみたいな妹がいたら苦労が絶えないから遠慮するわ」
「ええ、メイベル姉様ひどい!私そんなに心配かけてる?ディアナも合わせて3人姉妹、とかいいなって思ったのに」
ディアナは少し驚いた。彼女の中には知り合ったばかりの自分が2人の友情に入れるわけがないという思いがあった。
「えっ、姉妹って私も?」
ディアナが戸惑い、目を瞬かせるとカレンが少し寂しげな表情になった。
「嫌、だった?ディアナって優しくて可愛いのに、自転車上手だし、お姉様にいたらきっと楽しいだろうなった思ったんだけど……」
「ううん!嬉しいわ。私は2人みたいに長い付き合いじゃないでしょう?だからびっくりしちゃって」
控えめなディアナと対照的にカレンは彼女の両肩左右の腕で囲うように回した。丁度、抱きつくような体勢だ。
「時間なんて関係ないの。なによりも私たちはディアナが好きなんだよ?それに私は、三人で遊んだりするのが大好きなの。だからいいでしょ」
「ありがとう……!私も2人が大好きよ!」
ディアナも2人の肩に手を置いて微笑んだ。
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