挿話弐拾弐/反撃の狼煙
氷の大陸に達して
一ヶ月もすると、炎の大陸や風の大陸から多くの人々が流入して来る様になる。
露衣土軍に敗れた抵抗勢力の残党や戦火の中で住まいを追われた者達。
炎の大陸や風の大陸では未だ露衣土軍に因る、抵抗勢力への威力制圧が続いていたからだ。
更には露衣土帝国の圧政に耐え切れずに逃げ出して来た者達。
日に日に大地の大陸へと逃げ出して来る人々が増えていった。
反乱軍はそれら全てを受け入れて力を蓄えていく。
この時点ですでに反乱軍という一勢力ではなく、一つの国家と為り得ていた。
国家としては、まだまだであったが、規模としては、すでに一勢力として片付ける事は出来なくなっていたのである。
そして燿炎、
毎日、毎日、やらなければならない事が山積みだったのである。
それというのも大地の大陸では何故か大地の魔法が使えなかったからだ。
大地の精霊の守護を受けた者が大地の魔法を使っても何も起こらない。
崩墟でさえも、どうにも出来なかった。
土木工事の全てを人の手に頼らなければならなくなったのだ。
住居の建築、道路の整備、植樹や農耕等々。
更には人が増えてきた事に拠って、法の整備や国民への役割分担等も決めなければならなくなる。
国家運営の全てを自分達でやらなければならなかった。
国民、一人一人の適性を見極めて、要所要所に配置する。
土木工事に従事する者、生産活動をする者、役人としての仕事を任せる者、その他、人間の生活に必要な仕事を任せる者、それぞれ割り振らなければならなかった。
燿炎達、反乱軍の幹部達は日々、それらの事で頭を悩ませる事にもなったのである。
しかし、その様な事が国民とっては幸いだったのかもしれなかった。
国民、一人一人がそれぞれ自らに与えられた役割を果たしていく事で、自分達の国を豊かにする事に繋がる。
大地の大陸にやって来た者達は皆、夢と希望に満ち溢れていた。
国民は自分達へ与えられた仕事にやり甲斐と誇りを感じて、充実した日々を送る。
そんな国民に支えられて順調に国が整備されていく。
更に国が整備されていく事で、最初は大変だった幹部達の負担も日に日に減っていった。
その結果、大地の大陸が復活してから半年、燿炎をリーダーとした、
そして数万人に膨らんだ国民の前で燿炎が高らかに叫ぶ。
「この世界の未来の為、露衣土帝国の横暴を赦す訳にはいかない。我々がこの地を得る事が出来たのは、正に我々に露衣土帝国の横暴を止める役割があるからである。そこで俺から皆に頼みたい事がある。俺に協力して欲しい。俺を信じてくれ。そして俺から皆に命令する。俺を信じて、ついて来い!必ずや露衣土帝国を倒してみせよう!」
燿炎は多くの民衆から喝采を浴びている。
そして、この事が露衣土帝国に対する、反乱軍の反撃の狼煙ともなった。
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