挿話拾参/引き継がれる遺志

炮炎ほうえん


氷の大陸にあったじょうの国で弟である燿炎ようえんより二年程、先んじて生まれ、幼少の頃から、よく露衣土ろいどや燿炎と行動を共にしていた。


露衣土が成人した事を切っ掛けにして、露衣土と燿炎は力ずくで浄の国の政権を奪い取る為の戦争を始める。


しかし炮炎は一人、二人の下を離れる事となった。


炮炎は露衣土の強引な考え方についていけなくなったのだ。


そして燿炎も一緒に連れて行こうとしたのだが、燿炎は露衣土と共に戦う事を選択したのである。


当時はそんな燿炎の選択を尊重するしかなかった。


炮炎自身もまさか露衣土の始めた戦争が精霊の星、全体にまで拡大するとは考えてもいなかったからである。


だから仕方なく、意見の合わない炮炎の方が一人で二人の下を去る事になった。


その後、炮炎は炎の大陸に渡って、こうという国にあった小さな村に辿り着いて、その村で暮らしていく事となる。


そして浄の国を乗っ取った露衣土が統一戦争を始めるが、炮炎の暮らしていた村は戦火に巻き込まれる事も無く、静かに平和な毎日を過ごしていた。


そんな、ある日、麗羅れいら凍浬とうりが村に流れ着く。


麗羅と凍浬は統一戦争に因り、家族を失って、炮炎が暮らす村まで、やって来たのである。


炮炎はそんな麗羅と凍浬を非常に可愛がった。


炮炎自身もこの村に流れ着いたからか、二人には過去の自分が重なったのかもしれない。


そして、そうこうしている内に麗羅と凍浬も成長していく。


特に麗羅はとても美しい女性へと成長して、男性達の注目を集める様になっていた。


しかし当の麗羅は炮炎を慕っていたので、他の男性達には目もくれなかったのである。


炮炎はそんな麗羅に対して、最初はまともに相手をしていなかったが、一途な麗羅にいつしか愛情が芽生え始めて、やがて二人は恋人同士の関係となっていった。


そして暫くの間、二人は幸福な日々を過ごす。


しかし、そんな幸福な日々もそう長くは続かなかった。


その後、統一戦争は終結したのだが、炮炎は統一戦争後の露衣土の政策に対して、危機感を感じる事となる。


そして、このまま放っておけば、いずれは、この村も平和には過ごしていけなくなると云う事を察知して、露衣土を倒す為にと反乱軍を立ち上げる事になった。


当然にその反乱軍には成長した麗羅と凍浬も加わる事となる。


麗羅と凍浬の二人は共に反乱軍の中で、重要な役割を果たす様になっていく。


そんな中、事ある毎に反乱軍の仲間達に対して、露衣土を倒す為には燿炎の力が必要だと説いていた炮炎は、反乱軍の皆には内緒で燿炎を説得しに、単身、露衣土城に乗り込んで行った。


しかし炮炎は燿炎を説得するには至らず、炮炎は燿炎の目前で露衣土に殺されてしまう。


しかし以前から露衣土の政策に疑問を感じていた燿炎は、その事を切っ掛けにして露衣土の下を去る決意を固め、反乱軍へと身を投ずる事になる。


そして燿炎は炮炎の遺志を継ぐ形で反乱軍のリーダーとなって、露衣土軍との壮絶な戦いを繰り広げていく事になった。

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