概要
俺は研いだだけだ。上限を持っていなかったのは、査定機のほうだった。
S級パーティ「蒼牙」の荷物持ち兼装備係を十二年。榛名修、三十八歳、E級のまま。
深層に入る許可を自分の名前で取ったことは一度もない。毎年、蒼牙の「同行者」として特例で潜り、控え室で盾を六枚、剣を三本、磨いてきた。
若手が入った日、チャットで解雇された。退職金は規約にない。
残ったのは工具箱と中古のスマホ。修は装備点検配信の枠を予約する。同時視聴、二人。
最初の客は、量販店の剣を抱えた高校生の探索者だった。研いで、巻き直して、重心を戻す。いつもの手順。
翌日、探索者庁の窓口で、その剣は「査定不能」と出た。公認買取所の眠そうな査定士が、三台の機械で三回測り直して、同じ表示を返す。
「うちの機械は、上限までしか出ません」
修の手が入った装備は、査定機の上限を超える。蒼牙の装備が十二年
深層に入る許可を自分の名前で取ったことは一度もない。毎年、蒼牙の「同行者」として特例で潜り、控え室で盾を六枚、剣を三本、磨いてきた。
若手が入った日、チャットで解雇された。退職金は規約にない。
残ったのは工具箱と中古のスマホ。修は装備点検配信の枠を予約する。同時視聴、二人。
最初の客は、量販店の剣を抱えた高校生の探索者だった。研いで、巻き直して、重心を戻す。いつもの手順。
翌日、探索者庁の窓口で、その剣は「査定不能」と出た。公認買取所の眠そうな査定士が、三台の機械で三回測り直して、同じ表示を返す。
「うちの機械は、上限までしか出ません」
修の手が入った装備は、査定機の上限を超える。蒼牙の装備が十二年
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