概要
財布は盗られた。命は、こいつに預ける。
俺を殺すはずの勇者が、俺の財布を盗んで逃げた。
十八歳の貴族ユアンには、逃げたい結末がある。竜の冠を被り、勇者トマに首を斬られる――前世で遊んだゲームの中で、何度も見た自分の最期だ。
父のもとを抜け出した朝、そのトマに旅費を財布ごと盗まれた。まだ勇者でも何でもない男は、口が悪く、金がなく、剣だけはやたらと上手い。
財布を取り返したユアンは、名を偽って持ちかける。二人一組の剣技祭に出よう。賞金は金貨十枚、半分ずつ。相棒になれば、殺されずに済むかもしれない。
「落ちても、金は返らないからな」
「落とすな」
ところが、トマの家で出された椀の底には、見覚えのある印があった。その家から工房を奪ったのは、三年前、自分がついた嘘だった。
剣を預ける相手に、名前さえ言えない。
それでも二人で、最後の台まで上がりたかった。
十八歳の貴族ユアンには、逃げたい結末がある。竜の冠を被り、勇者トマに首を斬られる――前世で遊んだゲームの中で、何度も見た自分の最期だ。
父のもとを抜け出した朝、そのトマに旅費を財布ごと盗まれた。まだ勇者でも何でもない男は、口が悪く、金がなく、剣だけはやたらと上手い。
財布を取り返したユアンは、名を偽って持ちかける。二人一組の剣技祭に出よう。賞金は金貨十枚、半分ずつ。相棒になれば、殺されずに済むかもしれない。
「落ちても、金は返らないからな」
「落とすな」
ところが、トマの家で出された椀の底には、見覚えのある印があった。その家から工房を奪ったのは、三年前、自分がついた嘘だった。
剣を預ける相手に、名前さえ言えない。
それでも二人で、最後の台まで上がりたかった。
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