概要
「毛布は二枚。ひとつは、あなたのぶんに」三年目、返事が変わった。
わたしが書くのは、荷に結ぶ紙の一行だけだ。
リネット・ウェルナーは伯爵家の三女で、領の物資係。
国境の砦へ毛布と塩を送る仕事を、三年で七十二便。
紙に書くのは品名と、置き方の一行だけ。
「毛布 二枚重ねで使ってください」
王都の姉様は、手紙でこう書いてよこす。
「荷札に字を書くなど使用人のすることです」
砦からの返事も、七十一回とも同じ四文字だった。
「助かった」
ところが七十二便目を出す朝、早馬で求婚状が届く。
門に立っていたのは、口では二語三語しか出ない将軍。
外套の内側には、三年ぶんの札の束があった。
その夜は門の前に立ちつづけ、翌朝から花が三日置かれた。
やがて砦は空になり、荷の宛先が消える。
かわりにわたしの一行が刷られ、王都の店先に貼られた。
写しから一語抜け落ちて、町の
リネット・ウェルナーは伯爵家の三女で、領の物資係。
国境の砦へ毛布と塩を送る仕事を、三年で七十二便。
紙に書くのは品名と、置き方の一行だけ。
「毛布 二枚重ねで使ってください」
王都の姉様は、手紙でこう書いてよこす。
「荷札に字を書くなど使用人のすることです」
砦からの返事も、七十一回とも同じ四文字だった。
「助かった」
ところが七十二便目を出す朝、早馬で求婚状が届く。
門に立っていたのは、口では二語三語しか出ない将軍。
外套の内側には、三年ぶんの札の束があった。
その夜は門の前に立ちつづけ、翌朝から花が三日置かれた。
やがて砦は空になり、荷の宛先が消える。
かわりにわたしの一行が刷られ、王都の店先に貼られた。
写しから一語抜け落ちて、町の
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