概要
俺を追放した男(俺)は、つくづく、いい仕事をする。
宮廷魔法使いガレル・オズワース、勤続十九年。詠唱と魔法陣で世界に丁重にお願いする古典体系魔法の、宮廷における第一人者である。
ある日、御前試技で「精霊魔法」を目撃する。詠唱なし、触媒なし、所要三秒。俺が十九年かけて二分に縮めた仕事が、三秒。宮廷の連中は「水芸」と笑っていたが、俺には聞こえてしまった。自分の積み上げたものが崩れる音は、積み上げた本人にしか聞こえないのだ。
だが宮廷の査定は三年遅れている。誰も俺を追放してくれない。
ならば仕方ない。俺が俺を追放する。執行は明朝。異議申し立ては認めない。
——こうして市井に下りた型落ち魔法使いは、しかし知らなかった。遠見の水晶(リモート勤務)が家一軒の値段であることも、ギルドの求人が「現場に潜れる奴だけ」であることも、そして。
町の人々が
ある日、御前試技で「精霊魔法」を目撃する。詠唱なし、触媒なし、所要三秒。俺が十九年かけて二分に縮めた仕事が、三秒。宮廷の連中は「水芸」と笑っていたが、俺には聞こえてしまった。自分の積み上げたものが崩れる音は、積み上げた本人にしか聞こえないのだ。
だが宮廷の査定は三年遅れている。誰も俺を追放してくれない。
ならば仕方ない。俺が俺を追放する。執行は明朝。異議申し立ては認めない。
——こうして市井に下りた型落ち魔法使いは、しかし知らなかった。遠見の水晶(リモート勤務)が家一軒の値段であることも、ギルドの求人が「現場に潜れる奴だけ」であることも、そして。
町の人々が
応援は執筆の複利です。読んでくれるだけでも十分嬉しい!
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