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概要
あなたが隠したその手抜きの欠陥、二度目は崩れさせない。
石工の娘にして見習い建築技師のエルガ・シュタインは、聖ヴァルガ大聖堂の鐘塔が完成を祝う奉献の日、鐘楼の崩落に巻き込まれて死んだ。崩れた瓦礫の下で最後に見たのは、偽造された検査印が押された点検簿だった。気づけば工事はまだ百日前、鐘楼はようやく骨組みを組み終えたばかりだった。二度目の生を得たエルガは、一度目の記憶だけを頼りに動く。北の基礎杭に隠された空洞を暴いて業者の不正を止め、身廊の要石に使われた粗悪な漆喰の出所を突き止め、鐘楼の筋交いを補強させて夜陰に紛れた手抜きを未然に防ぐ。三度先回りするうちにエルガは悟る――全ての帳尻を合わせているのは、棟梁ファルクただ一人。奉献の当日、司教アダルベルトと居並ぶ会衆の前で、エルガは自らの手で瓦礫混じりの石材と偽造検査印、そして着服の帳簿を並べ「二度目は崩さない」と告げる。
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