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概要
そのかわり、いちばん大事な記憶が消える
上履きに油性ペンで字を書かれるのは、これで四回目だった。
佐倉陽、十三歳。中学一年。
三か月前に死んだ祖父が、四十九日の夜に夢に出てきた。裏山の湧き水のところへ行け、とだけ言って。
言われたとおりに行った先で、俺は見知らぬ老人から黒い粒をもらう。一粒で三十秒、まわりがゆっくりになる薬。
老人は最後にこう言った。「使えば、持っていかれる。たいてい、その人がいちばん惜しいと思ってるものだ」
仕返しは、面白いくらいうまくいった。教室の空気が変わり、上履きの落書きは止まった。
そして俺は、ある夜、仏壇の前で気づく。祖父がどんな声だったのか、思い出せない。
全5話・完結。
佐倉陽、十三歳。中学一年。
三か月前に死んだ祖父が、四十九日の夜に夢に出てきた。裏山の湧き水のところへ行け、とだけ言って。
言われたとおりに行った先で、俺は見知らぬ老人から黒い粒をもらう。一粒で三十秒、まわりがゆっくりになる薬。
老人は最後にこう言った。「使えば、持っていかれる。たいてい、その人がいちばん惜しいと思ってるものだ」
仕返しは、面白いくらいうまくいった。教室の空気が変わり、上履きの落書きは止まった。
そして俺は、ある夜、仏壇の前で気づく。祖父がどんな声だったのか、思い出せない。
全5話・完結。
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