概要
剣は抜かない。帳簿を開く。それだけで、王国の嘘が崩れる。
蝋燭三百本の帳簿に、一行だけ「淀み」が視えた。それが、五年間誰にも読まれなかった下級官吏の目が、初めて王国に牙を剥いた日。
剣も魔法も駄目、魔力適性は十段階の一。王国財務院の下級書記官ロラン・メルシエ、二十二歳の唯一の才能は、帳簿の数字に潜む矛盾が「淀み」として視える微弱な魔術だけ。答えは教えてくれない。どこが嘘か、だけが分かる。
その目を「仕事」として買ったのは、現物を数えることしか信じない監査騎士エステル。二人が数字の糸を辿るたび、給金の水増しは軍需の横領へ、貧民街の借金は王宮の入札談合へ、やがて王国中枢の陰謀へと繋がっていく。
完璧すぎる十年前の遠征戦費四百二十万リーヴル。七年間ぴったり同じ鉱山の産出量。そして、母が王宮会計士だった過去。
剣ではなく検算で、魔法ではなく突合で、日陰の下
剣も魔法も駄目、魔力適性は十段階の一。王国財務院の下級書記官ロラン・メルシエ、二十二歳の唯一の才能は、帳簿の数字に潜む矛盾が「淀み」として視える微弱な魔術だけ。答えは教えてくれない。どこが嘘か、だけが分かる。
その目を「仕事」として買ったのは、現物を数えることしか信じない監査騎士エステル。二人が数字の糸を辿るたび、給金の水増しは軍需の横領へ、貧民街の借金は王宮の入札談合へ、やがて王国中枢の陰謀へと繋がっていく。
完璧すぎる十年前の遠征戦費四百二十万リーヴル。七年間ぴったり同じ鉱山の産出量。そして、母が王宮会計士だった過去。
剣ではなく検算で、魔法ではなく突合で、日陰の下
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