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概要
預かり屋 榊便利堂 ―最期の一言を、七日以内に届ける―
小さな町に、死んだ人の最期の一言を運ぶ稼業がある。
榊透、二十七歳。表の看板は何でも屋「榊便利堂」。草むしり、網戸の張り替え、猫捜し、仏壇の移動。頼まれれば断らない。断らないから頼まれる。
その最後に、これがくっついてくる。
臨終の場に居合わせ、その人が言い残そうとした一言を、声色ごと預かる。預かれるのは一度に一言だけ。期限は七日。宛先の前で口を開けば勝手に出るが、それ以外の誰に言ってもただの音にしかならない。
届けられなければ、言葉は腐る。腐った言葉は預かり屋の中に居座り、代わりに本人の言葉がひとつ消える。
老人が最期に呼んだのは、とうにいなくなった飼い犬の名前だった。九十歳の女性は「あの子に」とだけ言い残し、宛先の名を告げずに死んだ。夜の県道で出くわした見知らぬ男は、頼んでもいないのに一
榊透、二十七歳。表の看板は何でも屋「榊便利堂」。草むしり、網戸の張り替え、猫捜し、仏壇の移動。頼まれれば断らない。断らないから頼まれる。
その最後に、これがくっついてくる。
臨終の場に居合わせ、その人が言い残そうとした一言を、声色ごと預かる。預かれるのは一度に一言だけ。期限は七日。宛先の前で口を開けば勝手に出るが、それ以外の誰に言ってもただの音にしかならない。
届けられなければ、言葉は腐る。腐った言葉は預かり屋の中に居座り、代わりに本人の言葉がひとつ消える。
老人が最期に呼んだのは、とうにいなくなった飼い犬の名前だった。九十歳の女性は「あの子に」とだけ言い残し、宛先の名を告げずに死んだ。夜の県道で出くわした見知らぬ男は、頼んでもいないのに一
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