概要
名を奪われた悲劇の巨神と、居場所を失くした少年――二つの魂を救ったのは、異能を持たない一人の男の土下座だった。
『神格鑑定局』のベテラン局員・高村宏一は、かつて命を救うため神と契りを交わし、妻子と引き裂かれた元同僚・祝部(ほうり)要の息子である新(あらた)と、偶然、雨のバス停で偶然出会う。
ずぶ濡れの新に一本の傘を譲る高村。
だが、幼い新の心は折れる寸前だった。
父の血である「異能」を忌み嫌う母との生活に耐えかねた新は、逃げるように岩手の祖母の家へと向かう。
そこで新が見つけたのは、千年前、朝廷に欺かれ「悪路王」の蔑称とともに封印された心優しき巨神・阿玄王(大多羅法師)が眠る『玄の箱』だった。
導かれるよう
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!居場所を失った少年と優しき巨神が出会う、鎮魂と再生の物語
神や怪異を扱う「神格鑑定局」を舞台にした現代ファンタジー。
異能を持つ少年・新が出会ったのは、千年ものあいだ眠り続けていた謎の巨神。
怖い神様なのかと思いきや、どうにも様子がおかしい。
子どもには優しいし、ちょっと人間臭いし、伝承で語られている姿とはずいぶん違うようで……?
「悪路王」「大多羅法師」「ダイダラボッチ」と、バラバラに見えた伝承が少しずつ繋がっていくのが面白いです。
そして忘れてはいけないのが、神格鑑定局のベテラン・高村さん。
異能はないけれど、神様相手でも必要なら土下座(笑)
この人がいるだけで、シリアスな場面にも絶妙な安心感があります(*'ω'*)
少年と巨神、そし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!傷ついた二つの魂が出会う、優しい物語
『玄の箱』の中に広がる、どこか懐かしく牧歌的で、平和で優しい夢の世界。そこに眠る巨神・阿玄の過去を知るほど、物語に惹き込まれていきました。
心優しかった巨神がすべてを奪われ、「悪路王」と呼ばれるまでに至る過去の描かれ方は圧巻で、とても心を打たれました。和の世界を感じさせる言葉遣いや情景描写も美しく、その世界観も大きな魅力です。個人的には、要所で交わされる東北の方言もとても好きでした。
そして、長い時を孤独の中で過ごしてきた阿玄と、異能を持って生まれたことで居場所を失った少年・新。傷ついた二つの魂が出会い、心を通わせていく姿には、じんわりと胸が温かくなりました。
新の小さく揺れる心や、家…続きを読む - ★★★ Excellent!!!母に拒絶された少年と、全てを失い封印された悪鬼。傷ついた二人の出会い。
完結後のレビューになります。
神や妖怪といった超常のモノが跋扈する現世。その中に於いて、人もまた例外ではない。
異能を持つ少年、新(あらた)
彼はその異能ゆえに母親から拒絶されていた。
行き場を失い、ふさぎ込む新。そんな彼が一つの小さな箱に出会う。それはかつて都を襲ったとされる、伝説の悪鬼「悪路王」が封じられた箱だった。
箱に取り込まれた新と悪路王の邂逅が始まる中、箱の外では異能無き鑑定局員高村が新を救うために奔走する。
新は無事に箱から出ることが出来るのか?
悪路王という名に秘められた悲しき過去とは?
高村と新の父親との関係とは?
三つの物語が交互に織り成し、今と過去を行…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悲しみの共鳴――ダイダラボッチは少年を選ぶ
主人公の少年、采女《うねめ》新《あらた》は、湖海さんの別作品の登場人物です。つまり、本作品はスピンオフと言って良いかと思いますが、しっかり単体で楽しめます。
本作品では、現段階(2026/8/27)で、新少年とダイダラボッチ『玄《くろ》』の出会いまでが描かれています。
新は家庭で悲しみを抱え、箱に封印された玄もまた悲しみを抱えています。両者には運命的な繋がりもあり、玄は新を選びます。
この作品が描く『日本人と神の関係』は、湖海さんの深い学問的知識の裏打ちがある上で、独自の持ち味で現代的娯楽性を加味なさったもので、他にないものと思います。
また、玄が封印されていた箱の中、『村』の描写が…続きを読む