★
0
概要
この書を、権力を持たない者に捧げる。
先に言っておきます。これは忠告です。
私は山の中の空き家で、一冊の本を拾いました。十年、誰も入らなかった家です。埃の上に足跡はひとつもなく、それなのに本には、刷りたてのインクの匂いがしました。
『小さな主権の書』。著者はいません。いない、ということが、あとで世界の問題になります。
私は写して、注を付けて、無料で全部、ブログに公開しました。読者は長いあいだ、世界にひとりでした。
いまは違います。
他国の学者が、誰が書いたのかを調べています。東京の会社が「小さな主権」を商標にしました。台湾では、題名の訳し方ひとつで眠れなくなった人がいます。そして先月、知らない男が配信で、この村の名前を口にしました。
私は、写しただけです。
どうしてこうなったのか。
その答えを、私はいちばん最後に知りま
私は山の中の空き家で、一冊の本を拾いました。十年、誰も入らなかった家です。埃の上に足跡はひとつもなく、それなのに本には、刷りたてのインクの匂いがしました。
『小さな主権の書』。著者はいません。いない、ということが、あとで世界の問題になります。
私は写して、注を付けて、無料で全部、ブログに公開しました。読者は長いあいだ、世界にひとりでした。
いまは違います。
他国の学者が、誰が書いたのかを調べています。東京の会社が「小さな主権」を商標にしました。台湾では、題名の訳し方ひとつで眠れなくなった人がいます。そして先月、知らない男が配信で、この村の名前を口にしました。
私は、写しただけです。
どうしてこうなったのか。
その答えを、私はいちばん最後に知りま
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?