「俺は君を愛せない」
「私も同じです」
そんな言葉から、始まる物語。
だけど……。
これは、虹のような軌跡を大切な人と編み上げていく物語です。
女性向け異世界ファンタジー…なんですけど。
「ザマァ」は、ありません。
ただ、純粋に。
それぞれが。
本当に、それぞれのことを、思い合う。
それが、この物語の。
そして、矢口愛留様が書く世界の、魅力だと思います。
物語前半のあらすじを、少しだけ。
伯爵令嬢オーロラは、王太子アレクサンダーへの叶わない恋心を隠しながら、恋愛に興味がない振りをして生きてきました。
そんな彼女に下されたのは、まさかの婚約命令。
相手は、血の繋がらない病弱な義妹をずっと愛し続けてきた、侯爵令息リアム。
「結婚じゃなくて婚約だから」
そう言い訳しながら、二人はぎこちなく、共犯関係としての距離を縮めていきます。
キーワードは、初恋。
初恋ならではの、あまりにも純粋な想い。
ヒロイン、オーロラさんの動機は、最初、初恋の人への当てつけでした。
でも、それがやがて。
相手のためになり。
思い合うことに、つながっていく。
このゆっくりとした変化、まさに矢口愛留様の世界。矢口節です。
初恋は、恋に恋していると言うけれど。
それは、一人称の「私」でしかない気がします。
相手が、いて。
思い合う。
その時、初めて「私達」になる気がします。
だから、
「俺は君を愛せない」「私も同じです」ってラストにもう一回、言ってみて?
と意地悪く、言いたくなります(笑)
これは「私達」を自覚した二人が、
二人だからこそ紡ぐことができた、魔法の物語。
雨上がりの虹を、二人で見上げる日まで。
ぜひ、見届けてあげてください!