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概要
最下位令嬢、白馬に乗って王子様へ
わたくしは、二年で十二戦して、十二敗いたしました。
伯爵令嬢セルマ・ミルテ、十九。痛がった馬からは、途中で降りてきました。そのたびに賭け札が紙屑になり、次に回ってくる馬が悪くなり、いつのまにか最下位と呼ばれておりました。
「乗るからには、最後まで走ってくれ!」
その日、二年のあいだ誰も乗れなかった白馬が、埒を越えました。厩の者が三人、順に手綱を引いて、順に弾かれます。
引かれた馬が逃げるのは、たいてい口のどこかが痛いからです。
ですから、わたくしは手を下ろしました。
六完歩で、その馬は止まりました。
「王国杯に、この馬で出ろ。三十日後だ」
仰ったのは、王太子殿下でございます。続く一言が、こうでした。
「勝つな」
勝て、と言われたことは一度もございませ
伯爵令嬢セルマ・ミルテ、十九。痛がった馬からは、途中で降りてきました。そのたびに賭け札が紙屑になり、次に回ってくる馬が悪くなり、いつのまにか最下位と呼ばれておりました。
「乗るからには、最後まで走ってくれ!」
その日、二年のあいだ誰も乗れなかった白馬が、埒を越えました。厩の者が三人、順に手綱を引いて、順に弾かれます。
引かれた馬が逃げるのは、たいてい口のどこかが痛いからです。
ですから、わたくしは手を下ろしました。
六完歩で、その馬は止まりました。
「王国杯に、この馬で出ろ。三十日後だ」
仰ったのは、王太子殿下でございます。続く一言が、こうでした。
「勝つな」
勝て、と言われたことは一度もございませ
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