概要
記録官は口を挟まない。十年守った規則を、今日、破ります。
十年間で、五度。わたしは断罪劇を書き記した。
五人の令嬢が大広間で罪を読み上げられ、名簿から名を削られ、国境の向こうへ消えていった。
王城記録官の仕事は、ただ書くこと。口を挟んではならない。
千二百二冊の記録簿だけが、わたしの証人だった。
そして六度目。石の円に立たされたのは、わたし自身だった。
婚約者である第二王子が読み上げた罪状は——十年前、一件目の断罪で読まれたのと、
一言一句、同じ文言だった。
その瞬間、記録官は初めて口を開く。
「恐れながら。過去五件の断罪状を、いま、読み上げてもよろしいでしょうか」
魔法のない王国。武器は、十年分のインクの染みだけ。
五人の令嬢が大広間で罪を読み上げられ、名簿から名を削られ、国境の向こうへ消えていった。
王城記録官の仕事は、ただ書くこと。口を挟んではならない。
千二百二冊の記録簿だけが、わたしの証人だった。
そして六度目。石の円に立たされたのは、わたし自身だった。
婚約者である第二王子が読み上げた罪状は——十年前、一件目の断罪で読まれたのと、
一言一句、同じ文言だった。
その瞬間、記録官は初めて口を開く。
「恐れながら。過去五件の断罪状を、いま、読み上げてもよろしいでしょうか」
魔法のない王国。武器は、十年分のインクの染みだけ。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?