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概要
三分しかない永遠を、何度もかけ直していたあの夏。
スマートフォンも、インターネットもない一九八〇年代。海辺の街の、丘の上の大学。
講義中にノートの隅へ海の絵を描いていた僕に、「その海、音がしないね」と声をかけてきたのが、神谷千夏だった。よく笑って、いつも誰かに囲まれていて、たぶん一生関わることのないはずの女の子。
彼女は僕の胸ポケットに、電話番号を書いた黄色いメモをねじ込んでいった。
エアコンのない部屋。扇風機と、中古のレコードと、麦茶の氷。防波堤から飛び込んだ海。砂に描いた似顔絵。「これ、永遠って感じがする」「……永遠って、三分しかないけど」。
そうやって、夏はぜんぶ過ぎていった。
八月の終わりの、なんでもない一日。駅の改札の前で、千夏は「またね」と言って手を上げた。――また明日、じゃなくて、またね。そのことに僕が気づいたのは、
講義中にノートの隅へ海の絵を描いていた僕に、「その海、音がしないね」と声をかけてきたのが、神谷千夏だった。よく笑って、いつも誰かに囲まれていて、たぶん一生関わることのないはずの女の子。
彼女は僕の胸ポケットに、電話番号を書いた黄色いメモをねじ込んでいった。
エアコンのない部屋。扇風機と、中古のレコードと、麦茶の氷。防波堤から飛び込んだ海。砂に描いた似顔絵。「これ、永遠って感じがする」「……永遠って、三分しかないけど」。
そうやって、夏はぜんぶ過ぎていった。
八月の終わりの、なんでもない一日。駅の改札の前で、千夏は「またね」と言って手を上げた。――また明日、じゃなくて、またね。そのことに僕が気づいたのは、
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