概要
救いの王まで、あと一人。その一万人目だけが、救えない。
ここは、願いより先に願いが叶う国——「成れの果ての国」。何も望まなくてよくなった転生者たちは、やがて自分が何を望んでいたのかを忘れ、自分が誰だったのかも忘れて、生きながらこの世界に沈んでいく。
俺は「真の救い手」セイバー。沈みかけた転生者のいちばん奥に残った記憶を探り当て、現実へ帰す仕事をしている。これまでに帰したのは、九千九百九十九人。数は一の位まで覚えている。顔は——覚えていない。あと一人で一万人。そのとき俺は「救いの王」と呼ばれるはずだった。
一万人目に選んだのは、街道で出会った金髪の少年だった。白い上着に紺の半ズボン。右手をポケットに入れ、右足をわずかに引きずって歩く、近所の子どものような姿。だが、少年にはどんな技も効かなかった。記憶を探っても、何も届かない。とっておきの物語を編
俺は「真の救い手」セイバー。沈みかけた転生者のいちばん奥に残った記憶を探り当て、現実へ帰す仕事をしている。これまでに帰したのは、九千九百九十九人。数は一の位まで覚えている。顔は——覚えていない。あと一人で一万人。そのとき俺は「救いの王」と呼ばれるはずだった。
一万人目に選んだのは、街道で出会った金髪の少年だった。白い上着に紺の半ズボン。右手をポケットに入れ、右足をわずかに引きずって歩く、近所の子どものような姿。だが、少年にはどんな技も効かなかった。記憶を探っても、何も届かない。とっておきの物語を編
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