概要
隠す鑑定官×黙る宰相。双方言葉にしない、すれ違いゼロの隠蔽ラブコメディ
男爵家出身のグレーテ、二十二歳。王宮星見局の「対鑑定官」である。
この国では、星見の水盤に二人の名を沈めると、運命の対なら水が光る。
鑑定官の資格はただ一つ、未共鳴者であること――共鳴済みの鑑定官は情で水を曇らせるとされ、判明したその日に引退が慣例だ。
没落男爵家の彼女にとって、この職は弟妹の学費であり、自分の足で立つ証である。
さて本日、王命が降りた。
「独身のまま三十を迎えた宰相カシミール閣下の対を、候補名簿から探し出せ」
名簿は令嬢ひゃくにじゅう名。案件着任の定めに従い、彼女はまず対象者の名錘と自分の名錘を沈めた――担当者が対象の「対」でないことを検める、着任の必須手順である。
水盤が、祝祭のように光った。
…………見なかったことにします。
ところが翌日から、鑑定は妙な具合にな
この国では、星見の水盤に二人の名を沈めると、運命の対なら水が光る。
鑑定官の資格はただ一つ、未共鳴者であること――共鳴済みの鑑定官は情で水を曇らせるとされ、判明したその日に引退が慣例だ。
没落男爵家の彼女にとって、この職は弟妹の学費であり、自分の足で立つ証である。
さて本日、王命が降りた。
「独身のまま三十を迎えた宰相カシミール閣下の対を、候補名簿から探し出せ」
名簿は令嬢ひゃくにじゅう名。案件着任の定めに従い、彼女はまず対象者の名錘と自分の名錘を沈めた――担当者が対象の「対」でないことを検める、着任の必須手順である。
水盤が、祝祭のように光った。
…………見なかったことにします。
ところが翌日から、鑑定は妙な具合にな
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