概要
君を忘れたくないから、私は私を忘れた。
朝比奈ひよりは、恋をすると忘れられる。
楽しく話した相手も、約束を交わした相手も、恋が始まりかけた途端に、ひよりとの記憶を失ってしまう。
ただ一人、親友の榊透だけは、ひよりを忘れなかった。
けれど、ひよりが望んでいるのは、告白され、手をつなぎ、恋人として歩く「普通の恋」。同じ女子として隣にいる透は、その恋にはなれない。
「一回でいいから、ちゃんと恋をしてみたい」
ひよりの願いを聞いた透は、長い髪を切り、男物の服をまとい、別人の“トオル”として彼女の前に現れる。
ひよりはトオルに惹かれていく。
しかし恋が深まるほど、今度はひよりの中から、トオルの顔も声も、二人で過ごした時間も消え始める。
忘れられても、また会えばいい。
そう思っていた透に、ひよりは告げる。
「忘れた私の代