概要
昼は穀潰し、夜は罪を焼く火――それを知るのは、十三歳の少女執事だけ。
魔導都市ゴルモアの社交界で、彼はこう呼ばれている。「無能な三代目」――魔力ばかり人並外れて、魔法ひとつ使えぬ穀潰し。酒に溺れ、女に甘く、会社は執事任せ。
けれど、私だけは知っている。
夜ごと霧の街へ飛び、罪人だけを狩る無音の処刑人「ブリムストーン」
裁きの前に、奪われた者たちの名を、たったひとりで読み上げる男。
十三歳の私、クロエ・アルジェントは、そんな主のもとへ半年前に押しかけた、筆頭執事。祖父の遺した技のすべてを叩き込まれ、彼の「もう一つの顔」を支える、たったひとりの相棒である。
誰よりも強くて、誰よりも優しいこの人が、どうして無能と嗤われ続けなければならないのか。歯がゆい。歯がゆくて、仕方がない。
けれど今夜も、私は水差しを傾ける。「ご主人様。朝です。正確には、とっくに昼です」
こ
けれど、私だけは知っている。
夜ごと霧の街へ飛び、罪人だけを狩る無音の処刑人「ブリムストーン」
裁きの前に、奪われた者たちの名を、たったひとりで読み上げる男。
十三歳の私、クロエ・アルジェントは、そんな主のもとへ半年前に押しかけた、筆頭執事。祖父の遺した技のすべてを叩き込まれ、彼の「もう一つの顔」を支える、たったひとりの相棒である。
誰よりも強くて、誰よりも優しいこの人が、どうして無能と嗤われ続けなければならないのか。歯がゆい。歯がゆくて、仕方がない。
けれど今夜も、私は水差しを傾ける。「ご主人様。朝です。正確には、とっくに昼です」
こ
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- ★★★ Excellent!!!腐った夜に、英雄は一人歩き続ける……
噂によると、この街には『英雄』がいるらしい。なんでも、夜陰に紛れて法では裁けぬ悪党を密かに成敗していく謎の黒衣の男なんだそうな。曰く、普段は執事の少女にしばかれながらぐーたらと過ごす放蕩息子だから誰も気付かないのだとか。
『俺には、泥水の方がお似合いさ』
その男が言ったという台詞……らしい。なんでも、彼は自分が真夜中に行なっているこの活動を『道楽』と捉えているという。決して奢らず、ヒーローを気取らず、ただ一人被害者の悲しみや怒り、心を背負って戦っているらしい。もし本当なら、とてもカッコいいと私は思う。
あくまで噂。だが、これからこの街に足を踏み入れようとするそこのあなたも、この街…続きを読む