概要
忘れたはずの約束が、鈴の音になって還ってくる
――諏訪の神は、姿を見せない。
澪が生まれた夜、諏訪湖に現れた御神渡りは、誰も見たことのない姿をしていた。
それからまもなく母は姿を消した。
「母さんは、遠くへ行った」
――父はそれだけを、繰り返し娘に告げてきた。
春先のある日、澪は博物館で一人の先輩と出会う。
同じ学校の宮守真尋。
はじめて話したはずなのに、なぜか懐かしい。
その日から、澪の耳には、誰もいないはずの場所で、小さな鈴の音が響くようになった。
忘れていたはずの記憶、隠され続けてきた家の秘密、
そして――
「神と人を繋ぐ器」として生まれた、一人の少女の物語が、今、静かに動き出す。