とても気持ちの良い、言葉の連なりです。短歌に馴染みのない方も、是非。何度も読みたくなる音とリズムを味わってください。後半は短歌の解説です。この解説のおかげで日常のひとコマだったり、懐かしい風景だったり、知らなかった分野だったりと、さらに楽しみが深まると感じました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(601文字)
このレビュータイトルは、作品のタイトルに応答したものである。「上がってくんさい」と筆者から招かれ、厚かましく家にお邪魔する気分。出されたお茶を啜りながら、筆者の夏の思い出に耳を傾けるような読み心地の作品だ。どの歌もささやかな夏の日常の一欠片。けれどじつはとびきり贅沢な時間だったのだと、今ならわかる。筆者の思い出話に相槌を打つ。長い解説もまた読み応えがあり、「わかる。わたしもね……」と共感しながら読んだ。お茶うけに出されたサラダ煎餅の塩気を舌に感じるような気がした。
生まれ育った地域の言葉はとても大切で愛おしいものですが、それを文章に直すと途端に違和感が出てしまいます。納得のできる、素直に腑に落ちるお国言葉の文章というのは、実はとても難しい。この作品は、広島(あたりでしょうか)の言葉が一切無理なく歌われているように思います。自分としてはあまり身近な訛りではありませんが、お国言葉を通して、古き良き日本の夏を想像できました。
山口出身なんで凄く懐かしい感じがします。私は八番の俳句がランドセルを背負って走ってた時を思い出して、ぱっとあの頃のことが蘇りました。俳句とか門外漢なんでしてませんが、良いもんですね。
もっと見る