概要
ローマ神話と名古屋めしが出会う、異文化相撲人情譚。
大相撲名古屋場所を目前に控えた七月。ローマ出身の幕下力士・降偶螺十流(ふるぐらーとる)は、名古屋の小さなイタリア料理店を訪れる。ラテン語で「稲妻を投ずる者」を意味する四股名を持ち、イタリア人初の関取を目指す彼だったが、胸の内には誰にも言えない迷いがあった。ローマへ帰れば日本人のようだと言われ、日本ではいつまでもイタリア人力士と呼ばれる。自分は、どちらの大地にも根を張れていないのではないか――。そんな彼を迎えたのは、相撲好きの常連客、西洋史を教える大学教授、そして名古屋とイタリアの味を一皿にしようと腕を振るう料理人だった。ローマ神話、大相撲、あんかけスパゲッティ。遠く離れた二つの文化が、小さな店で交わり始める。二つの故郷の間で揺れる力士が、自分の立つ土を見つめ直す、異文化交流と相撲の人情短編。
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