概要
「恋の熱量、公定価格。全室課税対象の、幸福なる沈没」
少子化対策が行き詰まり、恋愛と生殖が個人の自由から国力維持のための公務へと用途変更された日本。三十歳以上の独身者には容赦なく独身税が課され、婚姻世帯すらもウェアラブル端末で配偶者との距離を二十四時間監視される時代。月間の親密滞在時間が基準を下回れば、容赦なく仮面夫婦罰金が引き落とされる。そんなディストピア社会において、市民たちが罰則を回避し、補助金を毟り取るための聖域。それが国家直営の「国立ラブホテル」だった。市民課から人口増加推進課へと出向になった不運な役人・佐藤は、国立ホテルのフロント業務や、抜き打ちの親密査察に追われる日々を送る。ベッドサイドのバイオセンサーが行為の熱量と時間を測定し、規定スコアを超えれば「ナカヨシ・マイナポイント」が即時付与される狂った客室。数千円分のポイントのため
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!愛は、誰かに「優良」と認定されて初めて愛になるのか
題名と設定の強烈さに、まず息を呑みました。
「愛は早い者勝ちです」
この言葉に、笑うより先にぞっとします。
恋愛も性愛も国家に査定され、心拍数や皮膚温度までポイントと減税へ換算される。
荒唐無稽なはずなのに、お役所言葉や効率至上主義、私たちにも馴染み深い制度が組み合わさることで、決して遠い未来とは思えないところが恐ろしいのです。
さらに、この社会を、制度を淡々と運用する役人・佐藤の視点から描く着眼が面白く、狂った仕組みが「日常の業務」として処理されていく不気味さを際立たせています。
読みながら、何度も考えました。
数値は身体の反応を測れても、その人の心まで「本物」と認定できるのだ…続きを読む