概要
お茶一杯の「ありがとう」が、俺の足を泥沼に引っかけた。
二十六歳、職歴なし。母親に怒鳴られ、半ば強引に介護施設へ放り込まれた宮坂は、初日から圧倒的な洗礼を受ける。
臭い、汚い、逃げたい——そう心に決めた夕方、お茶を一杯運んだだけで、シワだらけのお婆さんが言った。
「ありがとねぇ、お兄ちゃん」
ただそれだけで、足が止まった。
泥臭くて、綺麗事の通用しない介護の現場。それでも、誰かに「兄ちゃんで頼むわ」と言われる日のために、俺は今日も施設へ向かう。
臭い、汚い、逃げたい——そう心に決めた夕方、お茶を一杯運んだだけで、シワだらけのお婆さんが言った。
「ありがとねぇ、お兄ちゃん」
ただそれだけで、足が止まった。
泥臭くて、綺麗事の通用しない介護の現場。それでも、誰かに「兄ちゃんで頼むわ」と言われる日のために、俺は今日も施設へ向かう。