概要
さまざまな人物の場面を切り取るSCENE
無題の古い詩集に書き込みをした青年マコトは、余白に棲む“名もなき存在”と出会い、言葉を交わし始める。彼女は彼の文字によって世界を知り、彼は彼女によって日常に意味を見出していく――
しかし、言葉を重ねるほどに彼女の居場所である余白は消えていく。愛と引き換えに存在を失うという残酷な選択の中で、マコトが最後に綴る言葉とは何か。沈黙と余白が織りなす、切なくも美しい異界のラブストーリー。
しかし、言葉を重ねるほどに彼女の居場所である余白は消えていく。愛と引き換えに存在を失うという残酷な選択の中で、マコトが最後に綴る言葉とは何か。沈黙と余白が織りなす、切なくも美しい異界のラブストーリー。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!魔法の救済ではなくインクの代償。純愛好き必見の交流譚!
古本屋で見つけた詩集の隙間を埋めるため、
マコトは硝子ペンを走らせる。
透明な軸から滴る藍色のインクが紙に滲むと、
名もなき住人からの細い文字が浮かび上がった。
外界の景色を高解像度で観察し、文字を綴る彼の行動は、都合よく彼女を本から引き出す展開には繋がらない。
言葉を交わすほどに残された領域は削り取られ、彼女の息遣いを確実に奪っていく。ページをめくるたび、視界の端から少しずつ光が剥がれ落ちる。
窓の外を、季節外れの雪が通り過ぎた。
与えられた奇跡での救済ではなく、限られた文字数で互いを刻み込む契約だ。
研ぎ澄まされた熱を求める読者なら、最終ページの余白に必ず息を呑む。