概要
ダンジョンの広間に、なぜかコーヒーが飲める場所があった。
会社員だった佐藤賢司がトイレのドアを開けたら、そこはダンジョンの広間だった。
第六層と第七層のあいだ、天井の高い石造りの空間。青白く光る苔。どこからか流れてくる清潔な空気。探索者たちがなんとなく足を止める、その広間の奥まったところで、賢司はコーヒーを出すことにした。
看板はない。値段表もない。ただ口コミだけが、静かに広まっていった。
「あそこに行くと、なんか楽になる」
訪れるのは、悩みを抱えた者ばかりだ。引退を迷う老剣士。師匠を超えることを恐れる若い職人。故郷に帰れない吟遊詩人。子供の夢を否定してしまった父親。迷子になってたどり着いた女の子。騎士団での出世を後輩に譲った男。親友を裏切ってしまった女。医者になれなかった薬草師。十年ぶりに居場所を探しに来た元ギルドマスター。
賢司は彼らの悩みを
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