概要
婚約も名前も奪われた日、ただ一人だけ彼は私を見失わなかった。
神託が、私の婚約者を奪った。
記録が、私の過去を塗り替えた。
そして王宮は、私という存在ごと消そうとしている。
公爵令嬢レティシアは、婚約神託の場で突然、別の令嬢の名を告げられる。三年間の婚約は記録から消え、私室は別人のものになり、侍女すら彼女の名を忘れていく。
おかしいのは、私の方なのか。
そんな問いを打ち砕いたのは、どの記録にも存在しない騎士だった。
「あなたの記憶は、狂っていません」
彼だけが、レティシアをレティシアと呼んだ。
――ただ一つだけ、解せないことがある。
この男の前でだけ、なぜか呼吸の置き場が分からなくなる。
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