自主企画「いくら丼」フィーチャー作品

川原水葉

いくら丼

「ねぇ、お母さん」


「なぁに?」


「いくらと筋子って何か違うの?」


「そうねぇ、いくらはバラバラの卵で、筋子は膜に入ってるのが大きな違いかしら?」


「いくら丼はよく見かけるけど、筋子乗せるんじゃダメなの?」


「あら、筋子丼もちゃんとあるわよ?」


「へぇ、じゃぁなんでいくら丼も筋子丼もあるの? 値段違うの?」


「筋子の方が安そうに見えるけど、筋子って作るのとっても大変なんですって。結局食べる時はどちらも値段変わらないって聞いたわ?」


「そうなんだ。いくら丼は食べたことがあるけど、筋子丼はないなぁ。美味しいの?」


「ん〜。好みの問題かしらね。つぶつぶ弾ける食感がいいか、ねっとり濃厚がいいかじゃない?」


「えぇ〜! ねっとり濃厚な磯の香りってなんか……食欲そそらない」


「そういうのが好きな人もいるのよ。あとはそうねぇ、筋子を買ってきて自分でいくら漬けにする人もいるわね。そうすると、醤油漬けになったいくらを買うより安く作ることができるわ。」


「それって筋子丼にならない?」


「ほぐしてバラバラにしてあるからいくら丼ね」


「じゃぁ、お母さん」


「なぁに?」






「ここにいるお父さんもバラバラにしたら高級になるかな?」

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自主企画「いくら丼」フィーチャー作品 川原水葉 @Hono_mama_64

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