第12話 最後の光と遠き星の囁き
空間がねじ曲がり、光が弾ける。
それは、アリスと仲間たちが、故郷から追放される最後の瞬間だった。
アゼル王の圧倒的な力は、彼女たちの存在を、この世界から強引に引き裂いた。
だが、アリスは決して諦めなかった。
絶望の淵に突き落とされながらも、彼女は残された最後の力、自身の空間干渉能力のすべてを、ただ一人の友のために捧げた。
「カイン……!」
アリスの心の叫びが、カインに届く。
カインは、アリスの絶望的な状況を悟りながらも、無力に立ち尽くすことしかできなかった。
アゼルの力は、もはや彼のような『境界の民』ですら抗うことのできない、世界の理を逸脱した力だった。
その時、カインの体が、強い光に包まれた。
それは、アリスが放った、純粋な空間干渉の力だった。
アリスは、カインに、この悲劇の連鎖から逃れてほしいと願った。
そして、いつかこの絶望を終わらせるための「最後の希望」を、彼に託したのだ。
「どうか、行って……! あなただけは、助かって……!」
アリスの悲痛な声が、光の中で反響する。
カインは、自身の体が別の次元へと転送されていく感覚を覚える。
彼の瞳に映るアリスの姿が、遠ざかり、歪み、やがて光の粒となって消えていく。
「アリス……! アリスー!」
カインの叫びは、もはやアリスには届かない。
光が収まり、カインが意識を取り戻した時、彼は見たこともない場所に立っていた。
そこは、アル・エテルナとは違う、青い空と緑の木々が広がる、別世界だった。
太陽の光が、温かく彼の肌を照らしている。
遠くからは、聞いたことのない鳥のさえずりが聞こえ、見たことのない乗り物が、轟音を立てて走り去っていく。
カインは、自分がアリスによって、遠い故郷から遥か遠く、別の次元へと転送されたことを悟った。
そして、彼の胸には、アリスが託した「最後の希望」が、熱い炎となって燃え上がっていた。
「アリスを、故郷を取り戻す……。そのために、この世界の力を、必ず見つけ出す……」
カインは、強く拳を握りしめ、新たな世界での旅を始めた。
一方、氷の世界に追放されたアリスは、絶望の淵に立たされていた。
しかし、彼女の強い感情は、その地の力と呼応し、微弱な空間の亀裂を生み出し始めていた。
カインとアリス。
二つの世界に引き裂かれた彼らの行動は、まだ誰も知らない、新たな脅威を呼び覚まそうとしていた。
これは、終わりの物語ではない。
これは、二つの世界を巡る、新たな物語の始まりである。
第8章:遠き星の囁き
蛇の侵食により、光の欠片たちは故郷を失った。
しかし、絶望の淵から解き放たれた「種」は、遥かなる旅路の果てに、新たなる大地を見出した。
そこは、光も影も、その「意思」を乱す地。
されど、この混沌の中にも、小さき「光の響き」は隠されている。
第9章:混沌の大地
蛇の侵食から逃れた「種」は、新たな星にたどり着いた。
そこは、根源の調和が失われ、光も影も乱れ、絶え間ない争いが続く不完全な世界であった。
第10章:記憶の煌めき
しかし、混沌としたその地にも、故郷アル・エテルナの記憶を宿す「光の響き」が残っていた。
この書もまた、その記憶の断片であり、失われた世界の真実を伝え、新たな未来への道標となるだろう。
どうも、改めてお久しぶりだね。
この創世見聞録を書いたカインだよ。
この物語をここまで読んでくれて、本当にありがとう。
僕の故郷であるアル・エテルナの物語は、悲しい結末を迎えた。
僕とアリスが、二つの世界に引き裂かれてしまったことは、君たちも知っていると思う。
でも、この物語は、ここで終わりじゃない。
これは、新たな旅の始まりを告げる。
さあ、僕たちの新たな旅を始めよう。
どうぞ、次の物語も、僕と一緒に歩んでくれると嬉しい。
創世見聞録 光と影の輪舞曲 キサラギ カズマ @kazu4520
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