幼い頃の約束は時効にならない!

冰鴉/ヒョウカ

幼い頃の約束は時効にならない

『あぁっ! 僕は冷奈ちゃんの物だから!』

『グスっ……ほんと? ひーくんは私の物?』

『うん! だから冷奈ちゃんは落ち込まなくて大丈夫!』


 幼い幼い……それこそ幼稚園児ぐらいの頃にした約束。冷奈ちゃんの親は所謂「毒親」と呼ばれる物であり、冷奈ちゃんに冷たく接していた。


 冷奈ちゃんは「自分の物」と呼べる物を持たせて貰えず、着ている服でさえ親からは『親の物だ』と何度も何度も言い付けられていた。故に冷奈ちゃんの物と言うのは何も無く……そして、不運な事に可愛く生まれてしまった冷奈ちゃんはそれをネタに男児に揶揄われていた。


 だからこそ昔から近くに住んでいて、よく公園で一緒に遊んでいた僕は言ったんだ。「自分は君の物だよ。だから、君が何も持っていない訳じゃないんだ」って……


 ◇◇◇◇◇


「——な! ちょ——た! もう……日向っ!」


「うぁ? なんだ……冷奈か。何か様か?」

「何寝てんのよ。早く行くわよ」

「いや行くって……何処にだよ」

「買い物に決まってるでしょ? 日向は荷物持ち。早く準備して」

「はぁ? んなの一人で——」


「あ?」


「……はぁ。分かったよ」


 懐かしい夢を見たな。

 ……今でも覚えている、幼い頃の記憶。俺が自分から冷奈の物と宣言し、俺達の関係性が構築された最初のイベント。


 あぁ、あの頃の冷奈は可愛かったな……悲しんでる顔は見たくなかったけど、俺が冷奈の物だって宣言した時の幼いからこその無邪気な笑顔……あれは今でも簡単に思い出せる程に強烈な記憶となっている。


 それが今はどうだ?


「何をチンタラとしてんのよ。アンタは私の物なんでしょ? なら主人を待たせないでよ」


 傍若無人。傲慢の権化。見た目は良いが中身は酷い。

 うちのクラスどころか学年中で話題になる程の美貌を身に付けた冷奈はもうそれは男子共に大人気で、幼馴染である俺の事を呪い殺すかの様な目で見てくる奴も多いが……変われるなら是非とも変わりたい。


 勿論クーリングオフなんて不可。一度変われたら俺は冷奈と関わりたくないくらいには、今の冷奈は酷い。


 なんでこうなってしまったんだろうな。まだ小学生の頃はニコニコしながら俺の横を歩いてくれてたと言うのに……今はどうだ。キッツイ目付きで俺を睨み、まだ準備が終わらない俺に苛ついているのか急かす様にスタンピングをしげいる。


 昔の様な可愛げなんて一切ない……自分が女王様だと言わんばかりの言動だ。


 確かに? その外人の血由来のプラチナブロンドは陽の光を反射すれば美しい銀色の様にも見えるし、瞳は紅くてずーっと見ていられるくらいには綺麗だ。

 見た目だけなら何処かの女王様であってもおかしくない。モデルとかアイドルとかに如何ですかってスカウトが来るのも何度も見ているし。


 スタイルも気を使っているのか程良く膨らんだ胸に安産型であろう魅惑のヒップ。その二つを美しく際立たせているくびれの線は美しく、もはや完成された身体と言える程に美しい。


 肌も瑞々しく、纏う雰囲気も若い為に禁断の果実っぽさを醸し出す極上の美少女……そりゃこんな容姿ならば図に乗って女王様ムーブをしてしまう様になるのは確定だったのかもしれない。

 冷奈のお爺さんとかお婆さんが冷奈を甘やかしているってのもあるだろうが。


「やっと終わったわね? じゃあ行くわよ、日向。全く……ほんとアンタはトロいんだから。ちゃんとついてきなさいよ」


 今日も今日とて小言を貰いながら俺は冷奈の背後を着いて行く。


 これが俺、「結城日向ゆうき ひなた」と幼馴染である「重石冷奈おもいし れいな」の今の関係性。

 着けられたあだ名は女王様と奴隷である。……せめて従者とかじゃダメだったのかなぁ。


 とか色々不満もあるのだが、俺は冷奈に強く出れない。何度も何度も冷奈に文句を言おうとしたり、無視しようと画作したのだが、実行しようとすれば必ず小さい頃の冷奈の悲しい顔が浮かんでくるのだ。


 ……俺はもう、冷奈あんな顔して欲しくないんだ。だから俺は願う。

 どうか冷奈を色眼鏡で見ず、幸せにしてくれる人が冷奈現れます様に。「冷奈の物になる」と言う約束がいつか、時効となって消えますように……と。


 ◇◇◇◇◇


「で?」

「で? って……何が?」

「アンタの食べたい物よ、食べたい物。言わなくとも分かりなさいよ、私の物なら」

「んな無茶な……焼き魚と味噌汁」


「そ。じゃあ魚を取ってきてちょうだい。あぁ、ついでに豆腐も」

「だからは俺は召使いかっての」

「料理作ってあげるんだから少しは我慢なさい。ほら、文句言ってないで行きなさい!」

「へぇへぇ……」


 学校からの帰り道、俺と冷奈はスーパーに寄っていた。と言うのも、実は俺と冷奈は訳あって同棲……シェアハウス? している。

 なんとなく察せるとは思うが、冷奈の家庭環境が原因だ。一時期冷奈の心は不安定だった事もあって、一番親しい俺と共に今は一緒に住んでいるのだ。


 まぁ、今はどう見ても心は強そうだし、俺が離れても大丈夫だとは思うけどな。

 流石に俺達も今や中学三年生……同じ家に年頃の男女が住むなんて事は普通は許されない。今度母さんにでも言おうかな、「一人暮らしをしてみたい」って。


 そうすれば冷奈からの奴隷扱いも解放されるだろうし、良い事づくしなのでは?


「…………そうだな。母さんに言うか」

「へぇ。何をおばさんに言うのかしら?」

「ん? そりゃ高校生にでもなったら一人暮らしでもしようかなって」

「……面白い冗談ね」

「冗談じゃないって。一人暮らしって言うのも体験してみたかったし——ぐぇっ!」


「どうやらアンタにはまだ私の物って自覚が無い様ね? 帰ったら覚えときなさい……みっちりと教え込んでやるんだから」

「れ、冷奈……苦しい」

「ふんっ。罰よ、罰。甘んじて受け入れなさい」


 魚選びに集中してたが故についつい考えてた事をそのまま喋ってしまってらしく、よりにもよって冷奈に聞かれてしまった。


 グイッと制服の襟元を掴まれ、冷奈の顔の前に俺の顔が移動させられてしまう。……相変わらず綺麗な顔してんなコイツ。あと微妙に同じくらいな身長なのが憎い。俺も男子の平均ぐらいはあるはずなのに、冷奈が女子としては背が高いのだ。


「ふんっ」と鼻を鳴らして手を離した冷奈は豆腐のある方へと歩いて行った。学校でも外でも家の内でも冷奈はしっかりと女王様だ。猫かぶってるわけでも無く、アレが冷奈なのだ。

 しかも厄介な事に幼少期の反動故かコレクター気質で、所有物である俺を手放そうとしないのがなぁ……良い加減俺を解放して欲しい。別に冷奈の物じゃなくなったとしても友人として側に居続ける事ぐらい約束するんだからさ。


「アンタは本当にノロマね。魚ぐらい早く選びなさいよ」

「あっ、そうだった。えーっと……」

「もう時間切れよ。私が選ぶけど文句は言わないでよ」


 チラリと軽く魚を見た冷奈がパッと手に取り、直ぐにカートに入れて即次の場所へ。

 無駄の無い、日常として染みついた動きだ。見た目は女王様にも関わらずあまりにも家庭的な面と言うギャップに若干やられてる俺は……心のどこかでは冷奈を受け入れてるんだろうな。




 買い物を終わらせて帰宅した俺と冷奈はそれぞれ自分に割り振られた家事をこなし始めた。

 冷奈は夜ご飯の料理を。俺は風呂場の掃除を。洗濯物については流石に幼馴染とはいえ男女だ……各々で回す様にしている。


「……懐かしいな、コレ」


 洗面所に飾られた一枚の写真が目に入った。昨日の時点ではここには無かった筈……となると朝起きた冷奈が飾ったのだろうか?


 この写真……確か俺が冷奈に「君の物」宣言した時の奴だ。普段帰る時に公園で別れていたはずの冷奈が妙に俺にベッタリだったのが気になった俺の両親が「君の物」電源を聞き、子供の可愛らしい約束事だと思いながらも記念として撮ってくれた写真。


 実家の方にあるアルバムにも残ってるだろうけど……なんで冷奈はここにこれを飾ったんだろう?


『日向ーっ! テーブルの上を片付けなさいよ! じゃないと味噌汁をそのままアンタの口に突っ込むわよ』


「……それは流石に駄目だろ。火傷で済まなくなるわ」


 以前、ちょっとした出来心と反抗心でこう言った事を聞かなかったのだが……その時には麻婆豆腐を乗せたプラスチック皿をパイ投げの要領で顔に叩きつけられた事がある。

 ……アイツはやると決めたらガチでやる奴だ。急がなければ。

 でもあの麻婆豆腐すっごい美味しかったんだよな……俺の顔に叩きつけた分が勿体無い。



 っと、そんな事考えてる場合じゃないな。急いで風呂掃除で発生した泡を洗い流し、水気をしっかり拭き取ってからリビングへ。

 チラッと冷奈の方を見れば、冷奈はエプロンを着けて黙々と料理をしていた。……やっぱり見慣れないと言うかなんと言うか。女王様が何故料理してるんですかね? って言いたい。でも冷奈って女王様扱いが嫌らしいからなぁ……下手に言ったら顔に焼き魚飛んでくる可能性もある。


 パッパとテーブルの上を片付けながらコップと食器を用意。白米はいつも通りで良いだろ、間食してないのは確認済みだし。


「それは私が持って行くわ。アンタは席に着きなさい」

「ほいよ。今日もありがとな」

「アンタだって充分家事をしてるでしょ? お互い様よ」


 ……こう言うところがあるから俺は冷奈を嫌いになれないし、離れようとも思わない。

 傲慢だし、俺を自分の所有物であると疑わず扱うし、言葉も向けてくる目線もキツい。でも根は悪い子じゃ無いんだ。


 協力出来る所は協力し、全てを俺に押し付ける様な事はしない。不器用ながらも同居人として寄り添ってくれる冷奈の言動が嬉しくて少し微笑んでしまう。


「……何笑ってるのよ。頭から味噌汁掛けられたいのかしら?」

「だからそれ止めろって……シャレにならないから。それに折角の美味しい料理が勿体無い」

「私だってやりたく無いわよ。だから私にそうさせない様に気を付けなさい」

「へいへい……」

「へいは一回」

「ん」

「……まぁ良いわ」


 冷奈と共に食卓につき、いただきます……


 うん、やはり冷奈の作ったご飯はとてつもなく美味しい。焼き魚を焼く時の火加減は絶妙で、焦げているなんて事は一切なく、パサパサしている事も無い。

 味噌汁だって味噌が濃すぎるなんて事も無い。ただ豆腐とワカメを入れただけの簡素な物ではあるのだが、それでも美味しいのだ。それに安心する味……毎日でも飲みたい程だな。


 流石は冷奈、俺の何倍も料理が上手いだけある。俺は色々と動きが遅いし、簡単な物しか作れないぐらいに料理の知識がないからなぁ……冷奈が料理担当になっている理由でもあるんだけれども。


 俺達が食事する時に会話は無い。テレビも一応設置してあるけれども、付ける事は無い。ただ静かに目の前にある食事を食べ続けるだけだ。

 だがこの空間は俺は何気に好きなのだ。静かではあるが決して気まずい空気な訳ではなく、この美味しい料理の味に存分に集中出来る。


 それに目の前には幼馴染とはいえ数多の男子生徒が見惚れる完成された美少女。……俺だって男だ。こうして美少女を眺めながら美少女の手作りを食べれるのはやはり嬉しい。


『パチッ……』


「ん?」


 唐突に静かな食卓に響く箸を置く音。それに反応して冷奈の方を見てみると、冷奈が箸を丁寧にテーブルに置き、俺の方をジーッと見ていた。

 えーっと? 俺何かしたか? いつも通りご飯を食べていただけだと思うんだけれど……


 と言うか今更だが冷奈の方の魚は若干焦げているな……珍しい。冷奈は料理に関しては妥協はしないし、真剣にやるから焦がす事なんて稀な筈なんだけど……


「……ねぇ」

「? どうした? 食事中に話すなんて珍しいな」

「えぇ、どうしても確認したい事があって」


 冷奈にとっては一生懸命作った料理に唾が飛ぶとかを気にして喋っていなかった部分もあると思う。にも関わらず今、こうして喋っていると言う事はそれ以上に重要な事があるのだろう。


「日向。本当にこの家を出て行くつもりなのかしら」

「んー、まぁ候補として出るのもアリかなぁとは思っているけども」

「本当に冗談では無いわけね……ねぇ日向? アンタは私の物だって何度も言っているわよね?」

「そりゃもう常日頃から聞いているけどよ、結局のところ小さいの頃の約束事だしもうそろそろ時効だろ」


 俺達ももうそろそろ高校生。いい加減この良く分からない関係も終わらせるべきだと俺は思っている。

 高校になれば青春らしい青春の最たる物……恋愛に興味を持つ人も多くなるはずだ。だからこそ冷奈には俺とかいう付属品を気にせずに自分を幸せにしてくれる人を探して欲しい。過去に親から愛されなかった冷奈だからこそ……


「時効? アンタは何を言っているのかしら? そんな物存在しないわよ」

「は? いや、存在しないって……」

「アンタと私、どっちかがあの約束を覚えてる以上、あの約束を無かった事になんて許さないわ。

 幼い頃とは言え約束は約束。アンタにはしっかりと最後まで私の物で居てもらうから」


 時効、存在していなかったらしい。確かに約束した時にいつまで冷奈の物でいるかなんて言ってなかったし、決めてもいない。だから無期限なのはしょうがないのかもしれない。

 けど、けどなぁ……


「そもそもとして、アンタ料理出来ないじゃない。仮に私から離れて一人暮らしをしたとして……アンタ、料理出来るの?」

「俺も簡単な物くらいは作れるのは知ってるだろ」

「『簡単な物』だけじゃ駄目なのよ。アンタの事だから結局レトルトかカップ麺生活になってしまうわ。……そんな不健康な生活になるくらいなら辞めときなさい」

「……まぁ、そうだよな」


 なんとなく、想像出来てしまった。こう見えて俺は割とめんどくさがりなのだ。

 今は俺は冷奈に言われてるからこそ風呂・洗濯・掃除をやっているけれども、一人になれば確実に数日か数週間おきに家事をする様になってしまうだろう。別に汚部屋にも耐性あるしな……


 そう思うと早計だったか? もう少し冷奈と生活を続けて、しっかりと家事をする習慣を身に付けてから一人暮らしをした方が良いかもなぁ。


「……ねぇ、日向。そんなに私の物で居るのが嫌なのかしら。コレでも結構アンタには優しくしているつもりなのよ?」


 その言葉と共に、気付いた。気付いてしまった。……冷奈の瞳が不安で揺れている事に。

 そうか……そうだよな。「冷奈の物」宣言をしたとはいえ、俺も1人の人間。普通に人権はあるし、冷奈から無理矢理離れようと思えば離れる事も出来る。実家に帰って冷奈の事を無視すればそれで完了だ。

 ……冷奈自身に、俺を引き留める権力なんて無い。


 けど、それでも冷奈は俺に固執している。きっと今まで冷奈がコレクションとして集めてきた物を全て捨ててでも俺を手に入れようとする程に。

 家族よりも一緒にいる時間が長く、実の家族よりも家族らしい関係で居る、この俺を。


「……はぁ。あのな、冷奈」

「…………何よ」

「嫌ならとっくの昔に此処を出ているよ。冷奈だって知ってるだろ? 嫌な事を遠ざける性格をしてるって事ぐらい」

「そうね……えぇ、そうね。アンタはそうだったわ。口でなんと言おうとも、今此処にいる時点でアンタは私を受け入れている。

 何よ、杞憂だったじゃない。はぁー、時間の無駄だったわ。ご飯が冷え切る前に食べ切りましょ」


 俺の言葉で不安が取り除かれたらしい冷奈は、食事を再開した。それを見て俺もまた料理に手を付ける。

 会話をした事で味噌汁も焼き魚も少々冷え始めたが、美味しさは健在。……そうだよな。このシェアハウスをし始めてからの夜ご飯は全て冷奈担当。俺の舌は既に肥え、きっと自分の料理やカップ麺、外食……実家に居る母さんの料理でさえ満足出来なくなってる。


 ……いつの間にか、俺は冷奈に胃袋を掴まれているんだな。

 その事実をしっかりと認識してしまって顔に諦めだか笑みだかの表情が浮かんだ事だろう。けれども、冷奈からの反応は何も無かった。


 ◇◇◇◇◇


 時は経ち、俺と冷奈は高校二年生。


 冷奈の美しさは更に磨きがかかり、中学生の頃の幼さの残る禁断の果実っぽさはなりを潜め、一端の女性らしい雰囲気を纏っている。

 更にはバイト代わりとしてちょっとしたモデル業に触れている為、常に綺麗に見える様な所作をしている事もあってこの高校では高嶺の花として降臨している。


 もはや告白された数は数知れず……と言いたいが、あまりにも完成され過ぎた美少女故に男子生徒が気後れしてしまう関係上、告白の数はほぼ指で数えれる程度しかない。

 野球やサッカー、バスケ部のエースをしている自分に自信がある男子生徒も冷奈に告白しようとして、見事に告白直前に日和って折れているのを俺は目撃している。

 俺は常に一緒にいるから見慣れているけれども、他生徒からしたら日和ってしまう程美しいとは……凄いな。


 勿論冷奈ファンクラブと言うのも存在している。勿論俺も所属……と言うか冷奈公認が故に、冷奈に強引に捩じ込まれたと言った方が正しいが。

『ファンクラブNo.0:結城日向』と書かれたクラブメンバーである事を証明するカード見る度に恥ずかしくなってしまう。


「冷奈、ほれ」

「ん、ありがと。……やっぱり随分と料理が上手くなったじゃない。コレとか良い焼き加減よ。トロいアンタにしては……いや、もう日向はトロく無くなったわね」

「誰かさんの教育のおかげでな。お陰で俺にもスカウトが飛んでくる始末だ……」

「あら、良いじゃない。いっその事私と一緒にモデルをやってみるのも有りよ?」

「心労がありそうだからパス。今まで通りマネージャーをするからそれで我慢してくれ」


 実は高校に入ってから俺は冷奈に色々と鍛えられていた。それこそ料理だったり判断力だったりマルチタスクを出来る様にしたりと。他にも勉強だったり身だしなみ、肌ケアに普段の姿勢、護身術、体型維持、手芸、スポーツetc……とにかく大量の事を叩き込まれた。

 冷奈がそれこそ万能と言える程に多彩であるが故に俺も様々な事を教え込まれ、今では運動部の助っ人をしてたりしている。


 何故こんな事になったかと言うと、それは高校一年の頃に冷奈の隣にいる俺へのやっかみが酷く、それが原因で一度実家暮らしに戻った所……冷奈がガチ怒りして俺を妬み虐めていた奴らをファンクラブを使って弾圧。そして次またこんな事が起こらない様にと俺を鍛え始めたのだ。


 元々の俺は髪を長く伸ばして目元まで伸ばし、以下にも根暗とも言えそうな男子生徒だったが、冷奈の手によって大豹変。


 髪はサッパリと短く、綺麗にセットして顔を綺麗に見せている。

 そして俺が髪を無駄に長くしていた要因……碧眼が更に魅力を引き立たせ、日頃から運動を強制されたお陰で鍛えられた体格もあって、何処に出しても恥ずかしくないイケメン……らしい。冷奈がそう言っていただけだし。


 碧眼に関しては母方の方の先祖帰りだ。幼い頃にコレで敬遠されたせいで髪を無駄に伸ばしていたのだ。

 思えば、そう言う特徴を持ってたからこそ、より特徴的な見た目をしていた冷奈に怖じけず接していたのかも知れない。


 ちなみに俺にも一応ファンクラブがある。非公認だけども。


「ん、美味しかったわ。あぁ、そうだ。今日はモデルの仕事が無いから一緒に帰るわよ」

「買い物は?」

「必要無いわ。そうね……うん、ポトフでも作ろうかしら」

「ほいよ。んじゃまた放課後——」

「ちょっと待ちなさい」

「ん?」

「今日の分よ」

「は? いやだから人前では——っ!」


 此処は教室、しかも昼休み時。教室で昼ご飯を食べている生徒も多く、冷奈や俺を目の保養とする為に残っている生徒は多い。

 そんな多い所で……冷奈は俺にキスをした。


 柔らかい唇が重なり、俺の思考が若干フリーズする。そんな中でも冷奈はそのまま舌を口の中に侵入させようとしてきて……


「いや待て冷な——んむぅ!」

あんふぁはわふぁひのものふぇふぉアンタは私の物でしょ……ふぇいふぉうふぃなふぃれ抵抗しないで

「んぅっ、んーっ!」


 なんとか口を固く閉ざし、侵入を拒むが冷奈は強引に舌を入り込ませ、俺が油断した隙に歯と歯の間に舌を置いた。……これじゃ口を開け続けるしか無い。もし閉じようとすれば冷奈の舌を噛んでしまうし。


 抵抗の手段を封じられ、どうしようと悩んでいると……冷奈の口から唾液が送られ、上歯の上を数回舌で叩かれた。

 ……飲めってか。今、此処で?


『ゴクンッ』


 冷奈から送られた唾液を飲み込み、舌で冷奈の舌を押し返す。そして冷奈の舌が無事に俺の口から退散したのを確認して、冷奈から思いっきり口を離す。


「っはぁ! おい冷奈っ! 無理矢理キスをするなとあれほど……っ!」

「あら、でも嬉しいでしょう? だってアンタは家だとアレほど——」

「有る事無い事言うなって! こう言うのが噂になるんだからさ」

「既になってるから良いじゃない。何も問題無いわね。それじゃあ私は自分のクラスに戻るわ。また放課後にね」


 と、ガッツリイチャイチャ具合を周囲に見せた所で冷奈は自分のクラスへと戻っていった。

 周囲の生徒の反応を見てみると……あまりのイチャイチャ具合に興奮したり俺を羨む目で見てくる生徒が大半。中には顔を真っ赤にしてアワアワしている生徒まで居る。


「……はぁ〜〜」


 それを見て俺は大きく溜め息を吐き、机へと突っ伏した。


 言ってしまうと、さっきのは茶番だ。別に俺と冷奈が交際関係にあるわけじゃない。対外的には恋人だと宣言してはいるが。


 所謂、偽装恋人。高校に入ってから即大量の告白をされた冷奈は所有物である俺を使って偽装恋人を作り、男避けにしようとしたのだ。まぁ、その結果俺は虐められて冷奈から距離を取ろうとしたんだが……


 ただ、俺の色々が改善されてからは周囲も冷奈と共に居てもしょうがないと思う様になり、偽装恋人は継続している。

 で、冷奈は所有物である俺に何をしても良いと思っているのか、割と頻繁に教室内……それも多くの人が居る中でああやった深めのキスをしてくるのだ。


 偽装恋人だと思っている筈なのだが、あんな事を思春期にやられてしまえばどうしても意識してしまうと言うのもの。もはや俺は冷奈をただの幼馴染としては見れず、異性として見てしまっている。


 普段はちゃんと冷奈によって鍛えられたポーカーフェイスで誤魔化せているとは思うけど……バレたらどうしよう。


「おぅおぅ、今日も今日とてお前らはお熱いなぁ? 日向」

「うるせぇ」


 からかいに来た友人を押し返し、さっさと次の授業の準備をする。


 はぁ……まだ口の中に冷奈の唾液が残っている気がする。しかもそれに気を向けてしまえば顔が熱くなってくるし……どうすりゃ良いんだよ。





「日向。あの約束に……時効を設けましょう」

「ん、どうした急に。あの約束って言うと、俺が冷奈の物って言った奴か?」

「そうよ」

「……何かあったのか?」


 時は夜。いまだにシェアハウス……と言うか同棲状態である俺達は、夜ご飯後に各々自由な時間を過ごしていた。

 そんな中で冷奈が唐突な提案をしてきたのだ。


「いえ……ただ、このままじゃいけないと思ったのよ」

「? 何がだ?」

「いえ、こっちの話よ。気にしないで頂戴」


 ……もしかして、冷奈に好きな人でも出来たのだろうか。そう思えてしまって、胸に痛みが走った。


 だってそうだろ? 今まで続けて来た主従関係の様で、恋人関係の様なこのよく分からない関係が邪魔になる事と言えば、それこそ恋愛事ぐらいだ。

 今すぐ解消するわけじゃなく、時効と言う形で時間をくれるのは、俺の為に心を整理する時間をくれるというわけだろう。


「で、その時効なのだけれど……アンタか私、どちらかが結婚した時にするわ」

「……えっ?」

「何よその反応。なにか文句がある訳?」

「あっ、いや……時効っていう物だからてっきり高校三年になったら~とか、高校卒業したら~とかかと思って」

「……アンタがそれが良いって言うなら、別にそれでもいいわ。アンタは……そんなすぐに約束を終わらせたいの?」


 冷奈の顔を見れば、その顔には悲しみの表情が浮かんでいた。……ミスった。冷奈にあんな顔をさせるなんて、幼馴染失格だな……


「いや、そうじゃないんだ。急に時効なんて言うからてっきり冷奈に好きな人が出来たのかと思って」

「そうじゃないわよ。全く……私の物なんだからもう少し私への理解度を上げておきなさい」


 その言葉を聞いて、ホッとした。

 ……やっぱり、俺はもう既に冷奈に惚れているんだな。冷奈に好きな人が出来たかどうかで一喜一憂してしまっているんだから。


 この事実に気づいた以上、告白すべきかどうか……いや、やめておこう。きっと冷奈は、恋人関係なんて求めていない。『自分の物』である俺を求めているのだ。

 出来るだけ長く冷奈の傍にいるのなら……冷奈が結婚するまで、この関係を続けてた方が良い。


「で? どうするのよ。高校卒業まで? それとも私とアンタ、どっちかが結婚するまで? 日向に選ばせてあげる」

「……じゃあ。どっちかが結婚するまでで」

「ん、ならそれで決まりね。しっかりと覚えておきなさいよ」


 そう言って冷奈は自分の部屋まで戻って行った。

 ……一体何だったんだ? 急に時効なんて決めだして。特に学校で何かあったように見えないし、思い詰めていそうな表情でも無かった。


 気になる。気になるけど……きっと聞いても本当の事を言ってくれないんだろうな。


 ◇◇◇◇◇


「乾杯」

「おぅ、乾杯!」


 それぞれ片手に持ったほろよいの缶で乾杯をし、一口含んでみる。

 今日は晴れて冷奈の誕生日。俺は冷奈より先に誕生日が来る関係上、お互いにもう二十歳……だから今日初めて、俺達二人だけでお酒を飲んでみるのだ。俺達だけならお酒に弱くて潰れてしまっても大丈夫だしな。


 へぇ……お酒ってこんな感じなんだな。ジュースの方が美味しくないか? って思うのはまだ若いからかなぁ。ちょっとアルコールの味が苦手かもしれんな。


「はぁ……とうとう二十歳か」

「そうね。結局、アンタは今の今まで一人暮らしをしなかったわね」

「しょうがないだろ。掃除とか洗濯とかの習慣は着いたけど、料理に関しては冷奈のじゃないと満足できなくなってしまったんだからさ」

「ふふっ、嬉しい事言ってくれるじゃない。でもどうするの? 私のご飯が食べれなくなったら。アンタ、生きていけなくなるかもしれないわね」

「かもなぁ」


 おっ、中々珍しい冷奈の自然な笑みだな。……あー、やっぱ綺麗だなぁ。小学生……いや、幼稚園児の頃から変わらない綺麗さと美しさだ。

 十数年の年月を掛けて成長した大人へと冷奈はやっぱり魅力的だ。こうやってふとした時に見惚れてしまうくらいには。


「ぁによ、そんなにわたしを見つめて」

「んにゃ、見惚れてた」

「んー? 珍しいらねぇ、アンタがそんら直球に褒めるなんて」

「ちょっとだけ呂律が回って無くないか?」

「んなわけないでしょ。私を舐めないでちょうらい」


 いや、冷奈の呂律が若干おかしいのは確実だな。冷奈って思った以上にお酒に弱いのかもしれない……今後は気をつけてもらおう。


「んー、思った以上にお酒って美味しいわねぇ……ほら、あんたももっと飲みらさいよぉ」

「いや、俺はあんま得意じゃないっぽいから」

「良いから良いからっ!」

「んぐっ、お前馬鹿——っ!」


 グッとお酒の缶を口に押し付けられ、グビっと一気に飲まされてしまった。さっきまで一口二口程度しか飲んでなかったって言うのにこんな急に飲んだら……!


「うぇ……アルコールの味がぁ」

「あっはは! 日向ぁ、アンタはまだ私の物。そうよね?」

「そうだけど……何?」

「ならさぁ……んんっ!」

「ん⁉︎」


 急に顔を近付けたかと思えば思いっきりキスをされた。そして流れる様に、慣れ親しんだが如く俺の口中にまで舌を入れてきて……っ!


「ぷはぁっ! ふふっ、アンタの口ん中からお酒の味がするわぁ」

「そ、そりゃさっき飲まされたからな……」

「……アンタりゃ私の物。うん、日向ら私の物りゃの」

「うん? どうした?」


 冷奈に思いっきり口の中を弄ばれたせいでボーッとしてしまう。いや、お酒のせいか?

 ほんと、好きな人にキスされるこっちの身にもなって欲しい。こちとら男だぞ、どれだけ我慢してると……


「こっち」

「な、なんだ?」

「良いから。こっち!」

「いや、そっちってお前の部屋……」

あんらはわらしのもりょれしょ!アンタは私の物でしょ!

「待て、一旦水——っ!」


 水を飲ませる事も構わず、俺は冷奈に引き摺られるままに玲奈の部屋に入ってしまった。

 ……シェアハウスする上で一番守るべきルール。相手の部屋には入らない……それが今、破られてしまった。


 強引に引っ張られ、放り投げられた先は冷奈が普段寝ているであろうベット。いつも冷奈から香る冷奈自身の匂い……それがベットから感じられてドキドキするし、酔いも加速している気がする。


「あんらが悪いの……七年。七年も一緒に暮りゃして、一度も手を出さなあんりゃがっ!」

「んぶっ! れい——待っ!」


 俺が喋る事なんて許さないとばかりに執拗なキス。舌も勿論入れてきて、自分の口だと言わんばかりに好き放題弄り散らかしながらも俺が着ている服に手をかけ始めた。


 不味いマズいまずいっ! このままだと酒の勢いでそう言う関係になってしまう……! 朝になって悲しむのは確実に冷奈の方で——


「冷奈っ!」

「きゃっ! ……ぇ?」

「冷奈、いくら酔ってるからってこんな事は……」

「ぇ、あぁ……やら……ヤダっ! やだぁ! 捨てないで! お願い! 駄目なの……私、アンタが居ないとっ! アンタが私の物じゃないと……!」

「れ、冷奈……?」


 突然この世に絶望したかの様な冷奈の表情が目に入り、一気に酔いが覚め始めた。

 目の前で俺に馬乗りになっている冷奈は普段は女王様然とした強気な表情をグチャグチャに崩し、恐怖と孤独と独占欲と……ありとあらゆる感情が煮詰まった表情をしていおり、涙をポロポロと流していた。


「冷奈……?」

「駄目なの……もう駄目なのっ! 私には日向が居ないと……私を受け入れてくれるアンタが居ないと、もう……生きていけないの。ずっとずっと一緒に居てくれて、私を支えてくれて、幸せを沢山感じさせてくれて……初めての、私の物になってくれて。もう、日向の居ない生活なんて無理なのよ……

 だからお願い、拒絶しないで……私の物であり続けてよ……」

「…………」


「そう、そうよ。まだ時効じゃない。だって私もアンタも結婚してないもの」

「…………」


「命令。命令よ! 日向、私を受け入れなさい!」

「…………」


「ずっと、ずっと……私の物であり続けなさいよ」

「…………」


「……返事」

「…………」


「……返事、は?」


 ……気付かなかった。冷奈が俺に依存している事も、俺をこんなにも好いている事も。

 いや、もしかしたら目を背けていたのかもしれない。だって……既に俺も、冷奈に依存しているから。


 共依存。そう、共依存だ。ズブズブに二人で溶け合い、一生離れられない関係になってしまう麻薬の様な危険な関係。そんなの……健全じゃない。そんな関係になんてなるべきじゃない。

 分かっている。分かっているけど……なるべきじゃないって……



 ……俺は、どうしようもなく冷奈に惚れていて、手遅れなまでに【冷奈の物】としてこの身を捧げてきたんだ。


 ゆっくりと身体を起こし、冷奈を見る。冷奈は拒絶されることへの恐怖か、俺の服を強く握りしめながら俯いている。……涙だって流している。


 そんな冷奈を……俺は優しく抱きしめた。


「日向……?」

「冷奈。俺も冷奈依存する程に……大好きだよ」

「——っ! 日向っ!」


 俺に返事を聞いた冷奈が俺を再度押し倒し、思いっきりキスをし始めた。優しさも何もない……必死に相手の想いを確認する様な我儘なキス。うん、冷奈らしいな。

 返事の為にしっかりと舌を絡ませ、抱きしめる力を強くする。……細いなぁ。コレで俺より運動が出来るって言うんだから、人の身体ってのは不思議なもんだ。


「ぷはぁっ! はぁ、はぁ……日向、覚悟しなさい。今ここで、アンタを本当に私の物にしてやるんだから」

「冷奈……こんなお酒の勢いで良いのか?」

「あら、アンタは気付かなかったの? あんなの演技よ、演技。ふふっ、アンタもまだまだね?」

「演技って……あの必死に俺に縋り付いてきた奴もか?」


「それは……内緒よ」



 その後、俺は徹底的に冷奈の手によって「結城日向は重石冷奈の物である」と言う事実を刻み込まれるのであった。


 ◇◇◇◇◇


「起きなさい、日向」

「うゔ……何? なんで冷奈が此処に……」

「はぁ……忘れたとは言わせないわよ。どうだったからしら? アンタの為に育てた私のお味は。コレでも私は最高級だと自負しているのだけれど」

「まぁ、その……最高でした」


 徐々に思い出してくる、昨日の夜の記憶。……結局最後まで冷奈に抗う事なんて出来なかった。やっぱりコイツは女王様だった。俺が必死に懇願している所を楽しそうに見ていたのだから。

 まぁ、痛みつける様なドSじゃないのが救いか。むしろ冷奈はドロッドロに甘やかすタイプだしな。


「ほら、起きたらコレにサインとハンコ。終わったら朝食にしましょ」

「ん? 何これ」

「婚姻届に決まってるじゃない。何を馬鹿な事を言っているのよ」

「え? 婚姻?」

「もしかしてアンタの頭がまたトロくなったのかしら? それとも……嫌、なの?」

「いんや、別に唐突だなって思っただけ。既に準備してあるとは思ってなかったんだよ」


「二年前から準備しておいたのよ」


 二年前って事は俺が18の時か……じゃあ随分と待たせたって事になるのか。

 はぁ……トロい俺はもう居ないと思ってたけど、女性の心の理解についてはまだトロいままか。


 そう思いながらパッパと婚姻届に名前を書き、側に用意されていたハンコを使って……うん、これで良いな。

 他の欄が全部埋まっている事については何も言うまい……母さんと父さんは冷奈の事が大好きだしな。実の息子である俺と同じくらいに。


「これで晴れて時効が成立、ね」

「あー、そっか。結婚する事になるんだもんな」

「えぇ。良かったじゃない。ようやくアンタは私の物を卒業するのよ」




「まぁ……約束が無くなったとしてもアンタは私の物である事に変わりはないのだけれどね。

 ねぇ? 【ひー君♡】」

「うっ、やめてくれ……」

「そう言いながらしっかり抱きしめているくせに」


 しょうがないだろ……その名前を使った時は抱きしめろって教育したの冷奈なんだからさ。


「まっ、これからも二人で暮らしましょ。どうせ仕事には困らないわけだし」

「多彩に育ててくれてありがとうな」

「えぇ、しっかりと感謝しなさい」


 冷奈は既にイラストレーター兼ネット声優。俺は動画編集と冷奈への依頼を管理するマネージャー。既に知名度はある程度有り、趣味でやっていたにも関わらず普通に生活出来るぐらいには稼げているのはまた別のお話……





 ◾️◾️◾️◾️◾️

【あとがき】

 はい、作者の冰鴉でございます。

 初めてのラブコメ? を書いてみたのですが如何でしたでしょうか。


 長編で書くつもりはなく、ちょっとした短編で出す予定でしたが、文字に起こすと大体一万四千文字……一話2000文字換算だと七話分となりますね。ちょーっと多いかな?


 ラブコメをどう書けば良いか分からない状態での執筆でしたが、この物語を楽しめた! と言う方は是非是非♡や⭐︎、コメント等をよろしくお願いします。


 以上、普段は異世界ファンタジーを書いている冰鴉からでした。別作品もよろしくね〜

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幼い頃の約束は時効にならない! 冰鴉/ヒョウカ @kan_a_alto

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