最終話「迷うまでもない」

戦いの後、村の長老が身振りで語った。


「モノな石」と呼ばれる神秘の石を使えば、元の時代に戻れるという。


マスタは石を手に取る。


余計なもん出すなよ、じじぃ。


現代には家族、友達、大学受験が待っている。


揺れ動く、マスタの心って…


ちょっと待ってよマスター!!!


ゴメン、うそついたわ


俺に友達はいないし、大学も受かる気がしない。


家族にも厄介払いをされている。


振り返れば…


タピ・オカの笑顔。


彼女のキラキラした瞳、毛皮のファッション。


言葉が通じないことを除けば、ただの黒ギャル。


ちょっとだけ当たった胸。


「俺、帰らない。ここに残るよ」


タピ・オカは驚いた表情の後、満面の笑みを浮かべた。


二人は手を取り合い、原始の大地に新しい物語を刻むことを誓った。

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「ダイヤモンドの原始」 藤崎 @fujisun723

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