13話

こよはるさんの12話です⤵︎

https://kakuyomu.jp/works/16818792440315843388/episodes/822139837023614940

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https://kakuyomu.jp/works/16818792439757544319



(昨日は濃い1日だったな……)

前髪を整えて学校に行ったらじろじろ見られて恥ずかしかったし、奈菜ちゃんは連れ子だって告白されるし。通学路の道端に咲いた名も知らない花を横目で見ながら思った。

ぼーっとしながら歩いていると、唐突に肩に手が回された。


「おはよー」

「あ、絵里ちゃん!おはよう」


私に話しかけてくれたのはクラスの中心メンバーの絵里ちゃんだった。

ポニーテールに薄めのお化粧、バッグには可愛いぬいぐるみ、スマホのカバーの中は今日も変わっている。


「んー可愛い」

「ありがとう……!」

「私、ちゃんと気づいてたんだよ?前髪上げる前から可愛いって」

「絵里ちゃんも可愛いよ」

「心まで美人なのね」


頭を撫でられて気恥ずかしく歩いていると、絵里ちゃんがニヤリと口角を上げる。


「絶対二人と進展したでしょ」

「……?二人って?」

「なんでもなーい!」


嬉しそうに早足で歩いていく絵里ちゃんを見送ると、後方から声が聞こえてきたような気がして振り向く。


「ものすごい需要のありそうな雰囲気」

「ね。今日のノルマは進展状況の確認にしよ」


いわゆるオタクと言われているカップルの圭くんと歩夢ちゃん。

何やら私を見てこそこそ話している……怖い。




学校に着くとまだ虹斗はいなかったが、春渡が圭くんと歩夢ちゃんと話していた。

……否、あれは質問攻めにされている。耳を澄ますと会話が聞こえてきた。


「ねえ、なんかあったんでしょ?」

「えぇ?なんかって?」

「宵華ちゃんだよ!私も女だけど惚れそうになったんだから!」

「虹斗ともなんかあったろ?」

「……だから何が」


ぷい、と顔を背ける春渡。

そのまえを、今来たばかりの虹斗が通り過ぎる。


「「……」」


(……あれ?)

二人は無言ですれ違った。お互い、意図的に顔を背けていた気がする。

今までは少なくとも「おはよう」くらいの言葉を交わすくらいの仲の良さではあったし。


「こーれは事件だよねぇ」


隣にきた絵里ちゃんはとても悪い笑顔で私に問いかけた。

何か嫌な予感がしつつも、私はぎこちない笑顔で返す。


「そ、そうかもね」

「まあ私に任せんさい」


グッドマークを作る絵里ちゃんが怖くて。

私は頷けないまま、裏で計画が始動しようとしていた。


「土曜日、カラオケ行こうね」



(いししっ)

私、暁月絵里あかつきえりは口元を緩ませた。

なんて甘酸っぱい。リア充の私より青春してやがる。考えるだけでもにやけてくる。


友達のよいちゃん(宵華)は、非常に可愛らしい女の子である。

それをずっと狙っていたのが、虹斗と春渡。両方幼馴染とか少女漫画かいな。

前髪を下ろしていたよいちゃんが、昨日ついに前髪を切ってきた。

みんな動揺してて楽しかったー。

そこで非常に慈悲深く優しい私は、虹斗と春渡に素晴らしい機会を与えてやろうと思ったのだ。


「あ、かい〜」


私は彼氏と待ち合わせをしているところ、やっと相手が現れた。

海は私たちとはクラスが違うが、虹斗と仲が良かったはず。


「ごめん遅くなった。話って何?」

「今週の土曜空いてる?」

「えっと……午後からなら」

「おし、カラオケ行って虹斗たちをからかおう」

「からかう?」

「虹斗たち、幼馴染三人があいにくの三角関係なの。そして女の子超可愛い」

「え、おもろ」


私はドヤ顔で返した。


「私たちとその三人でカラオケに行って、私たちは途中で抜けよう」

「天才かよ」

「赤点生徒なめんなー」

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リレー小説OBNR(いなずま。) いなずま。 @rakki-7

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