せっかちな王様

あじたに

せっかちな王様

 とある国にその王様はいました。


 彼は優秀な王様の息子でしたが、先代が亡くなり王に即位してからは酷い有様でした。


 なにしろその王様は酷くせっかちで、人の話を最後まで聞くことが出来ません。


「ドリス王!報告があります。隣の国から手紙が届いており、その内容は…」


「ふん、どうせ大したことはない。無視しておけ」


 大臣からの報告を受ける時でさえこのありさまです。


 これに困り果てた大臣は兵士達を集め、どうすべきか案を集める事にしました。


 集まった兵士達は口籠もり、皆頭を抱えてしまいました。


 重苦しい空気の中、一人の兵士が大臣にこんな提案したのです。


「ドリス王は長い話が苦手だ。だから何かを報告をする時は結論だけを話すのはどうだろう」


「なるほどそれは良い。そうすれば用件を伝える事ができる」


 王様の短気に疲れ果てていた大臣はその案をすぐに取り入れ、王様と話す時は結論だけを伝えるようにしました。


「ドリス王、農作物が不作です」


「民を飢えさせる訳にはいかない。この城の蓄えを配れ」


「ドリス王、盗人を捉えました」


「全くもって許せん、牢屋に入れておけ」


 大臣は喜びました。


 今まで話を最後まで聞いてもらえず相手にされていなかった事が嘘のようだったからです。


 もうこれで冷たくあしらわれ、話が長いと罵倒される事も無いのだと心底安心しました。


 そうしたある日、大臣はすっかり慣れた様子で王様へ報告をします。


「ドリス王、隣国から二度目の手紙が届いておりますが、返答はどうしますか?」


「続けて無視で良い。我が国は他の国とは関係を必要とせぬ」


 大臣は言われた通りに手紙を無視する事にしました。


 そして一月ほどの時が流れました。


 つい先日までは平和だったドリス王の国は隣国からの奇襲を受けてしまいます。


 兵士達は必死に抵抗しましたが、それも虚しく生き残ったのはドリス王たった一人となりました。


 敵兵に首をとうとうねられる直前に、ドリス王は悲鳴のような声を上げました。


「何故だ!どうして突然我が国へと攻め入ったのだ!」


 それを聞いた敵兵は不思議そうな顔をした後にこう言いました。


。そう記した手紙に対して沈黙を答えたのはお前だろう」


 それを聞いたドリス王は、過去を悔いながら呆気なく生涯の幕を落としましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

せっかちな王様 あじたに @ajitani_41

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ