1分で読める、その定義

佳鳥/setsuka

ふたりがはなす

「1分で読める小説を1分で読めたとは限らないじゃん?」

「……そうだけど。」

「ゆーちゃんはね、なんか文章入ってこなくていつの間にか妄想の世界に入ってることよくある」

「お前それ障害じゃない?」

「決めつけるの良くないよ、キミの悪いところだよ」

「スミマセン」

「ゆーちゃんは全然障害じゃないんですけど、ていうかあんまそういう強い言葉使ってほしくないんですけど、ほらあの子とかちょっと怖気づいてるじゃんキミがそういう事言うから」

「続きを話しなよ、尺稼ぎもみっともないよ」

「…例えばさ、1万字ある小説でも、186巻くらいまである小説でも誰か1人が1分まで読めたら、それは『1分で読める小説』じゃない?」

「それは違うよ。その1人はイレギュラーに加算されるはず、その場合はさ」

「コイツが速読スーパー名人だったか〜。」

「面々たる面子に名を連ねる事ができるスーパーな名人だったんだよ」

「めんめん?ゆーちゃんがイケメンだって言いたい?」

「「……………………」」

「今検索したら面々たるなんて言葉はなかった。だからイケメンじゃないし美女でもない」

「あー…キミの頭が悪すぎたか…」

「…話、戻してよ」

「ね、じゃあさ、1人以上…複数人が1分で読めなかったらそれは1分で読める小説なの?」

「それは…そもそもの読んでる人数にも関わるけど一分で読める小説ではないと思うな」

「えー?その人達が遅読名人じゃないの?」

「…あ、そうじゃなくてもその人達が滅茶苦茶幼い子達なのかもしれない」

「幼い子はね、文字が読めないと判断したら逆にスラスラとページを捲ると思うよ」

「そうか…じゃあ遅読名人だ」

「へ〜…」

「……違う、遅読名人じゃない!それが一分で読めなかったりする小説なだけであの人達は遅読名人ではない!」

「ってことはさ、287巻ある小説だって―1巻ごとにびっしり文字が埋まってる287巻を複数人が1分で読めたら、それは1分で読めたりする小説だよね」

「違う、その人達が速読スーパー名人群なだけだ」

「変な単語生やすの好きなの?」

「時間巻き戻したろか、お前がってんやぞ速読名人」

「キミ絶対最近某ギャグ漫画読んだよね」

「どれだよ、鼻ほじりそうなやつか」

「全然特定できないよ、そんな事言ったらギリギリ鼻ほじるやつも出てくるもん」

「汚いこと言うな!」

「時間巻き戻したろか!」

「……で。1分で読める定義の話は?」






―確かに、この会話は某ギャグ漫画を彷彿とするな。

怖気づきながらも私は二人を見つめる。


そこにいる、を。



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1分で読める、その定義 佳鳥/setsuka @hanapi-

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