星と時計台、そして天女。
ファンタジックでありながらどこか懐かしく、優しい夜の物語です。
子どもの視点で描かれるその“出会い”は、夢か現実か分からない不思議な感覚に包まれていて、読んでいるこちらまで「何かを信じてみたくなる」ような気持ちになります。
このお話に登場する天女は、美しい存在でありながらちょっと鈍臭くて、どこか親しみの持てる魅力をたたえています。
止まっていた時計の針がカチリと動いたとき、自分の中の時間もそっと動き出したような——
そんな感覚が、読後の余韻として静かに残ります。
静かな夜に読んでほしい、やわらかな幻想譚でした。