自他の幸。【詩】

ドラもり

こう。

他者の幸せを希求すとき、己は幸せの渦にいる。ふお思い返してみると、確かに字面の通りである。

 遡って推察した所、僕は今日も今日とて最大級の幸福を享受していた。高校生の僕の目に映える、あの子の顔立ちという個性は周りを喜々へと導く。下手に誰かの所有物や仮定だが僕の云々になったとて、この程よい清光の兆しは皆目見当もつかなかったであろう。あのかわゆさは非常に正気を失念させる。

 と、実際は何でもいいのだが、幸はある視点も産む。冒頭の他人の幸福と題されるものである。とどのつまりは他者への幸福の再分配を企むようになる。幸は更なる幸を産む手筈になっているが、いかんせん欲求という快楽に洗脳される我々はそれを完全に失念する傾向にある。身近の奇跡を知り得ればどことなく再分配体制は構築される。愚かであり寂しい我らは、奇跡を奇跡と確定させ、永久にポケットに仕舞う習慣を身につけるべきであると、そんな正義のヒーロー気取りな僕の観念は伝達した。

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