現代御伽物語
@hakumaru_miran
第1話『プロローグ』
───0時13分。北海道札幌市すすきの。先程まで呑んでいたであろう酔っ払い2人が、街を歩いていた。
「う〜〜ん!鈴木君もお疲れ様!君がいなかったらここまでの成功は無かったよ!全くありがたい限りだ!」
「いえ…!私なんかがそんな…!それを言うなら他の仲間達や、それこそ上原さんが…」
「いやぁ〜…俺なんてほんのちょっかいかけてただけでな〜んもしとらんよ!」
2人は楽しそうに夜の街を歩く。───だが、そんな束の間の一時は一瞬にして崩れ去った。
「いや〜それで〜…おっと」
話に夢中になっていた上原という男は、前からくる存在に気づかなかった。申し訳ないことをした、そう思った上原はすぐに謝ろうとぶつかった存在の方向へ顔を向けたが、そこには誰もいなかった。
「…ちょっと話に夢中になりすぎた…な…」
再び鈴木と呼ばれた男の方に向いた上原は、衝撃的な光景を目にする。
「…は?」
そこにいたのは、肩から上が無くなっている鈴木だったものであった。
「は…え…?」
上原は状況を飲み込めず、その場に立ち尽くしていた。
…しかし、次の瞬間。
「ガアアアアアアッッッ!!!」
その"何者"かが、悲鳴を上げる間もなく上原を食い殺してしまった。
6本の鎌のような腕に巨大な体。4つの蜻蛉のような羽に強靭な尻尾。まさに"クリーチャー"であった。クリーチャーはあっという間に鈴木と上原を喰らい、何処かへ飛び去っていった。
───人々の日常は、ゆっくりと、されど確実に壊れつつある。
現代御伽物語 @hakumaru_miran
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